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吉田正尚に押し出される形で「ジーター」がレッドソックスにDFAとされる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジーター・ダウンズ(ボストン・レッドソックス)Jul 24, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月15日、ボストン・レッドソックスは、吉田正尚と正式に契約したことを発表した。吉田は、レッドソックスの40人ロースターに入った。

 ロースターに空きはなく、40人の選手が名を連ねていた。吉田を入れるには、代わりに誰かを外す必要があった。レッドソックスは、ジーター・ダウンズをDFAとした。

 ダウンズは、24歳の内野手だ。5年前にMLB.comのマーク・シェルドンが書いた記事によると、デレク・ジーターの大ファンである母親が、ジーターと名づけたという。今年の6月下旬にメジャーデビューした際には、ジーターから「おめでとう、幸運を祈る…ヤンキースでプレーはしてないけれど」とツイッターで祝福された。

 ファーストネームが目を惹くだけの選手ではない。ドラフト順位は、2017年の全体32位。シンシナティ・レッズに指名された。その後、2度の大型トレードを経験している。1度目はヤシエル・プイーグマット・ケンプら、2度目はムーキー・ベッツデビッド・プライスの交換要員の一人として、それぞれ、レッズからロサンゼルス・ドジャース、ドジャースからレッドソックスへ移籍した。

 球団が絶対手放さない「アンタッチャブル」のトップ・プロスペクトではないものの、他球団が欲しがるプロスペクトだったことが窺える。今シーズン、メジャーリーグでは、14試合で1本塁打と0盗塁、打率.154と出塁率.171ながら、AAAでは、81試合で16本塁打と18盗塁、打率.197と出塁率.316を記録している。メインのポジションは、ジーターと同じ遊撃だ。

 ダウンズは、ウェーバーに公示される。獲得を申し出る球団が現れても、おかしくない。ジーターのように殿堂入りするかどうかはさておき、ダウンズがレッドソックスを去ってブレイクした場合、レッドソックスはダウンズをDFAとすべきではなかった、という声も聞こえてくるだろう。さらに、吉田が期待外れに終われば、そういった意見はさらに増えるに違いない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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