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ドラフト全体1位のサイ・ヤング賞投手が今年限りで引退か。7年2億1700万ドルの契約は今年まで

宇根夏樹ベースボール・ライター
デビッド・プライス(ロサンゼルス・ドジャース)Aug 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 デビッド・プライス(ロサンゼルス・ドジャース)は、今オフに引退するのだろうか。

 USAトゥディのボブ・ナイテンゲールは、引退について、プライスが「その時が来た」と語った、と報じている。一方、ロサンゼルス・タイムズのジャック・ハリスらによると、プライスは、引退するかどうかはまだ決めておらず、今シーズン中の復帰をめざしていて、オフにどうするかを考える、と言っているという。ナイテンゲールの記事を受け、プライスが記者にそう語ったのだろう。左手首を痛め、プライスは今月初旬から故障者リストに入っている。

 7年2億1700万ドルの契約は、今シーズンの終了とともに満了する。近年は故障が増え、先月下旬には、37歳の誕生日を迎えた。

 2007年のドラフトで、プライスは、全体1位指名を受け、タンパベイ・デビルレイズに入団した。翌年9月にメジャーデビュー。これまでに5チームで投げ、398登板の2141.2イニングで、防御率3.32を記録している。157勝82敗、2セーブ、8ホールドだ。

 2010~18年の9シーズン中、規定投球回未満は1度しかなく、200イニング以上が6度。このスパンに、防御率4.00以上のシーズンは皆無で、3.50未満は7度を数える。2012年はサイ・ヤング賞に選ばれ、2010年と2015年は投票2位に位置した。

 ドラフト全体1位のサイ・ヤング賞投手は、プライスだけだ。スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)とゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)は、それぞれ、2009年と2011年のドラフト全体1位だが、サイ・ヤング賞は受賞していない。

 また、プライスは、ワールドシリーズ優勝も経験している。2年前にドジャースが優勝した時は、新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、全休することに決めたが、ボストン・レッドソックス時代の2018年に、ワールドチャンピオンのメンバーとなっている。

 この時は、ワールドシリーズでドジャースと対戦。第2戦に6イニングを投げ、2失点で白星を手にしたのに続き、翌々日の第3戦も同点の9回裏に登板し、0.2イニングを投げた。さらに、再び中1日で第5戦の先発マウンドに上がり、先頭打者にホームランを打たれたものの、その後は得点を許さず、8回裏に先頭打者を歩かせるまで投げた。プライスがシリーズ2勝目を挙げたこの試合で、レッドソックスは優勝を決めた。MVPはシリーズ8打点のスティーブ・ピアースが受賞したが、プライスも有力な候補だったはずだ。

 今シーズンはリリーバーとして、38登板で38.1イニングを投げ、防御率2.58を記録している。復帰が間に合えば、ポストシーズンのロースターに入るだろう。ドジャースが優勝するかどうかにかかわらず、プライスの登板は、今秋のポストシーズンが最後になるような気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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