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大谷翔平とアーロン・ジャッジ、投打のどちらでもないこの差は、MVPに影響する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・コレイア(左)と大谷翔平 Aug 14, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ここまでのアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)を比べると、打者としては、ジャッジが大谷を凌ぐ。9月2日を終えた時点で、ホームランは51本と30本、出塁率は.398と.360(打率は.294と.268)、OPSは1.059と.886だ。

 一方、ジャッジは、マウンドには上がっていない。大谷は、22登板で128.0イニングを投げ、奪三振率12.38と与四球率2.32、防御率2.67とFIP2.59を記録している。

 守備に関しては、外野手と投手の違いがあり、比較は難しい。ちなみに、DRSは、ジャッジのほうが少し高い。ジャッジの2(センターが-1、ライトは3)に対し、大谷は0だ。ディフェンスのWAR(ベースボール・リファレンス版)は、0.0と-1.2となっている。

 走るスピードは、大谷のほうが速い――三塁打は、ジャッジが0本、大谷は6本――ものの、盗塁成功率は逆だ。ジャッジが88.2%(15盗塁)、大谷は55.0%(11盗塁)。数値もそうだが、順位にも大きな差がある。ア・リーグで盗塁+盗塁死=15以上の21人中、ジャッジの盗塁成功率は3番目に高く(3位タイ)、大谷の盗塁成功率は最も低い。ファングラフスは、盗塁と盗塁死を含むベース・ランニング(走塁)について、ジャッジを1.0、大谷を-0.3としている。

 もっとも、守備だけでなく、走塁も、MVP投票にはそう影響しないだろう。基本的には、ジャッジの打撃と大谷の投打を比べ、記者は票を投じるのではないだろうか。

 なお、総合指標のWAR(ベースボール・リファレンス版)は、ジャッジが7.8、大谷は7.3だ。彼らの他に、ア・リーグで7.0以上の選手はいない。

 これまでの例からすると、WARのトップがMVPを受賞するとは限らない。また、ジャッジと大谷が同時受賞の可能性も、皆無ではない。1979年のナ・リーグでは、ウィリー・スタージェルキース・ヘルナンデスが、どちらも216ポイントを得て、MVPを分け合っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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