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24球連続ストライクは、どの球もストライクだったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョージ・カービー(シアトル・マリナーズ)Aug 24, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月24日、先発マウンドに上がったジョージ・カービー(シアトル・マリナーズ)は、初球から24球連続ストライクを記録した。

 スタッツ社によると、どの試合でも投球数をカウントするようになった1988年以降、先発投手が最初の24球ともストライクは、新記録だという。それまでは、2018年8月30日にジョー・マスグローブ(当時ピッツバーグ・パイレーツ/現サンディエゴ・パドレス)が記録した21球連続が最長だった。マスグローブは、2014年4月9日にアービン・サンタナが続けた20球を上回った。

 ただ、3人とも、ストリーク中の投球がすべてストライクと判定されたわけではない。見逃しのストライク、空振りあるいはファウル・チップのストライク、ファウルのストライクの他に、それらのどれでもない投球もあった。インプレーになった投球だ。カービーの場合は、24球中7球がそう。結果は、5球がヒット、併殺打と捕手フライが1球ずつだ。

 また、24球のすべてがストライクゾーンに投じられたわけでもない。スタットキャストは、2回表の先頭打者、C.J.エイブラムス(ワシントン・ナショナルズ)に対する2球目がゾーンの外だったとしている。外れていたのは、高低ではなく左右。左打者のエイブラムスから遠いほうだ。エイブラムスはこの投球を打ち返し、結果は内野安打となったが、手を出さずに見送っていれば、カービーの初球からの連続ストライクは、12球目に途切れていた。連続11球ということだ。

 とはいえ、最初の24球中、ゾーンの外はこの1球しかなかった。今シーズン、カービーは97.2イニングを投げ、与四球率1.20を記録している。これは、90イニング以上の113人中、アーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)の1.19に次いで低い。カービーの奪三振率は9.40、防御率は3.32だ。

 ちなみに、カービーとエイブラムスは、どちらも、今シーズンがメジャーリーグ1年目。ドラフト順位は、2019年の全体20位と全体6位だ。エイブラムスは、この夏、ホアン・ソトジョシュ・ベルの交換要員の一人として、パドレスからナショナルズへ移籍した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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