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この投手が継続中の「20連続クオリティ・スタート」は100年間に8人だけ。サイ・ヤング賞もある!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランバー・バルデス(ヒューストン・アストロズ)Aug 17, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今、最も安定している先発投手、と言ってもいいかもしれない。フランバー・バルデス(ヒューストン・アストロズ)は、シーズン4登板目の4月25日から23登板目の8月17日まで、20連続クオリティ・スタート(QS)――先発6イニング以上&自責点3以下――を記録している。

 ベースボール・リファレンスによると、1914年以降、1シーズンに20連続以上のQSを記録したのは、バルデスが8人目だ。1968年に22連続QSのボブ・ギブソンと20連続QSのルイ・ティアン、1986年に20連続QSのマイク・スコット、2004年に21連続QSのヨハン・サンタナ、2005年に22連続QSのクリス・カーペンター、2015年に20連続QSのジェイク・アリエタ、2018年に24連続QSのジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)に続く。

 最近の投手が多いのは、長いイニングを投げることが少なくなったのも一因だろう。例えば、6イニングを投げて自責点3で降板すればQSだが、最初の6イニングが自責点ゼロであとの3イニングが自責点4の場合、9イニングで自責点4なので、QSではなくなる。

 とはいえ、達成者は一桁しかいない。また、バルデスの前に、20連続以上のQSを記録した7人のうち、その年にサイ・ヤング賞を受賞していないのは、1968年のティアンだけだ。この年のア・リーグは、デニー・マクレインが満票でサイ・ヤング賞に選ばれた。マクレインは、先発41登板で336.0イニングを投げ、31勝6敗、防御率1.96。ティアンは、先発32登板と救援2登板の計258.1イニングで、21勝9敗、防御率1.60を記録した。マクレインは、MVPも受賞。ティアンは、こちらでは5位タイだった。

 今シーズン、バルデスは先発23登板で149.0イニングを投げ、防御率は2.72。QSを継続中の20登板に限れば、防御率2.53となる。シンカーとスピンの効いたカーブを主体に、多くのゴロを打たせている。

 ただ、ティアンと同じく、バルデスも、このままいくとサイ・ヤング賞は逃しそうだ。チームメイトのジャスティン・バーランダーは、22登板の143.0イニングで防御率1.95を記録していて、他にも、防御率2.30未満が2人いる。ディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス)が防御率2.09、シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)は防御率2.28だ。サイ・ヤング賞は、防御率だけで決まるものではないし、シーズンはまだ1ヵ月以上を残しているが、現時点では、バーランダー、シース、マクラナハンが、ア・リーグの有力候補トップ3ではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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