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勝ち越しているチームの監督が途中解雇。過去にもこんなことはあったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
チャーリー・モントーヨ Jun 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月13日、トロント・ブルージェイズは、2019年から采配を振っていたチャーリー・モントーヨを解雇した。これに伴い、ベンチ・コーチだったジョン・シュナイダーが監督代行、AAAのバッファロー・バイソンズで監督を務めていたケーシー・キャンデルがベンチ・コーチ代行となった。バイソンズの監督代行は、まだ発表されていない。

 今シーズンの監督解雇は、ジョー・ジラルディジョー・マッドンに続き、モントーヨが3人目だ。先の2人は、それぞれ、フィラデルフィア・フィリーズとロサンゼルス・エンジェルスに解雇された。

 解雇前の10試合は、フィリーズが3勝7敗、エンジェルスが0勝10敗、ブルージェイズは2勝8敗だ。いずれも、黒星が白星の倍を超える。ただ、解雇時点のシーズン勝敗は、フィリーズが22勝29敗、エンジェルスは27勝29敗と負け越していたのに対し、ブルージェイズは46勝42敗。ア・リーグ東地区では4位ながら、ワイルドカード・レースでは、ポストシーズン進出圏内の3位に位置する。ESPNのジェフ・パッサンは、解雇の理由として、負けが込んでいたこととモントーヨのリーダーシップに対する疑問を挙げている。

 3地区制がスタートした1994年以降、オールスター・ブレイク前に監督が交代したのは、今シーズンのブルージェイズが延べ50チーム目だ。1シーズンに交代が2度以上の場合は、1チームとして数えた。

 50チーム中45チームは、交代時点のシーズン勝率が.500以下だった。今シーズンのフィリーズとエンジェルスも、ここに含まれる。

 あとの5チームのうち、1996年のロサンゼルス・ドジャースは、トミー・ラソーダ(41勝35敗)の健康状態が理由だ。2007年のシアトル・マリナーズでは、マイク・ハーグローブ(45勝33敗)が「情熱を失いつつある」と辞任した。2011年のワシントン・ナショナルズも、ジム・リグルマン(38勝37敗)が辞任。リグルマンが翌シーズンのオプション行使を要求し、ナショナルズに拒否されたのが理由のようだ。2018年のセントルイス・カーディナルスは、今シーズンのブルージェイズに近い。マイク・マシーニー(47勝46敗)を解雇する前の10試合は4勝6敗ながら、スパンを15試合に広げると、5勝10敗となる。オールスター・ブレイク直前の解雇という点も、今シーズンのブルージェイズと共通する。

 なお、今シーズンのフィリーズは、ロブ・トムソンが監督代行となってから、7月12日までの37試合で24勝13敗を記録し、ワイルドカードの3番手と1.0ゲーム差の4位に位置している。一方、エンジェルスは、フィル・ネビンが監督代行となった後、32試合で11勝21敗。交代前よりも沈み、ポストシーズン進出の望みは薄れつつある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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