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ヤンキースに「20本塁打トリオ」が誕生。このペースなら「40本塁打トリオ」も…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・リゾー(左)とジャンカルロ・スタントン Jul 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月2日のダブルヘッダー2試合目に、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)は、シーズン20本目のホームランを打った。今シーズン、20本塁打に到達したヤンキースの選手は、スタントンが3人目だ。この試合を終えた時点で、アーロン・ジャッジアンソニー・リゾーは、それぞれ、29本塁打と22本塁打を記録している(7月3日は、完封負けを喫した)。

 同じチームの3人が20本塁打以上は珍しくなく、その人数も多くはない。2019年のミネソタ・ツインズは8人だ。7人のチームも、二桁を数える。今シーズンのヤンキースの場合、特筆すべき点は、20本塁打トリオ誕生のスピードにある。レギュラーシーズンは、まだ折り返し地点に達していない。ヤンキースは、7月3日が開幕80試合目。ここから、あと82試合を行う。

 ESPNスタッツ&インフォによると、開幕から80試合以下で20本塁打トリオ誕生は、史上8組目だという。そのツイートには、直近の7組目、2006年のシカゴ・ホワイトソックスしか記されていないので、調べたところ、以下のトリオがそうだった。1997年のコロラド・ロッキーズと2006年のホワイトソックスは、20本塁打トリオの誕生が、どちらも開幕80試合目。今シーズンのヤンキースは、史上6番目のスピードということになる。

筆者作成
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 ここから、ヤンキースの3人が40本塁打トリオになるかどうかは、まだわからない。80試合以下で20本塁打トリオを結成した、過去の7組中、40本塁打トリオとなったのは、1997年にロッキーズでプレーした、ラリー・ウォーカー(49本)、アンドレス・ガララーガ(41本)、ビニー・キャスティーヤ(40本)だけだ。

 一方、1973年のアトランタ・ブレーブスに誕生した、史上初の40本塁打トリオ、デービー・ジョンソン(43本)、ダレル・エバンス(41本)、ハンク・アーロン(40本)が20本塁打トリオとなったのは、開幕86試合目だ。この試合で、ジョンソンが20本目のホームランを打った。また、1996年にロッキーズで40本塁打トリオとなった3人は、20本塁打トリオの結成がさらに遅く、開幕89試合目だった。ガララーガ(47本)とエリス・バークス(40本)に続き、キャスティーヤ(40本)が20本塁打に到達した。

 ただ、ヤンキースの3人は、故障さえなければ、史上4組目の40本塁打トリオとなっても不思議ではない。

 ジャッジとスタントンのパワーについては、言うまでもないだろう。2017年には、どちらも50本以上のホームランを打っている。ジャッジは52本塁打を記録し、当時、マイアミ・マーリンズにいたスタントンは、60本塁打まであと1本に迫った。

 リゾーのシーズン最多本塁打は32本(2014年、2016~17年)ながら、ホームのヤンキー・スタジアムは左打者のホームランが出やすい。今シーズンの22本塁打は、ホームで13本とアウェーで9本だ。ちなみに、4月26日にホームで記録した1試合3本塁打の推定飛距離を、スタットキャストは、346フィート(約105.5m)、378フィート(約115.2m)、327フィート(約99.7m)としている。

 なお、1シーズンに、同じチームの4人以上が40本塁打以上を記録したことはない。今シーズン、ヤンキースで3人に次いでホームランが多いのは、13本のグレイバー・トーレスだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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