Yahoo!ニュース

「ガラスのエース」がようやくシーズン初登板へ。2億4500万ドルの契約を得た後、2シーズンで7登板

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)Jun 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月9日、スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)は、マイアミ・マーリンズの本拠地、ローンデポ・パークのマウンドに上がる。今シーズンの初登板だ。前回の登板は昨年6月1日。1.1イニングを投げたところで、首の張りを訴えて降板し、翌日から故障者リストに入っていた。今シーズンは、5月下旬から6月上旬にかけ、AとAAAで計3試合に登板している。

 ストラスバーグは、2009年のドラフト全体1位だ。通算12シーズンで246試合に登板し、113勝61敗、防御率3.21を記録している。2019年はナ・リーグ最多の209.0イニングを投げ、こちらも最多の18勝(8敗)と10位の防御率3.32。この年のワールドシリーズでMVPを受賞した直後に、7年1億7500万ドル(2017~23年)の延長契約をオプト・アウトしてFAとなり、ナショナルズと7年2億4500万ドル(2020~26年)の再契約を交わした。

 ストラスバーグの投球は、全体1位の評価を裏切っていない。2019年を含め、175イニング以上&防御率3.35未満は4度を数える。ただ、規定投球回に達したシーズンは、この4度しかない。故障者リスト入りは10度以上。新たな契約を得てからは、2シーズンで計7試合に登板しただけだ。それまでも懸念されていた、故障の多さという弱点が、より顕在化している。

 今シーズンを含め、契約はあと5シーズン分が残っている。各シーズンの年俸は3500万ドルだ。この契約には、ストラスバーグがどのトレードも拒否できる権利もついている。

 一方、ストラスバーグとともに、2019年のオフにナショナルズからFAになったアンソニー・レンドーンも、同じく7年2億4500万ドルの契約を、こちらはロサンゼルス・エンジェルスと交わした。

 ストラスバーグと違い、レンドーンは、契約1年目にア・リーグ9位のOPS.915を記録した。けれども、この年は60試合の短縮シーズンだった。昨シーズンの出場は58試合にとどまり、OPSは.712に過ぎなかった。今シーズンの成績も、ここまでは昨シーズンとそう変わらない。5月28日からは、右手首を痛めて故障者リストに入っている。

 なお、レンドーンは、2011年のドラフト全体6位だ。今月、32歳の誕生日を迎えた。ストラスバーグは、来月下旬に34歳となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事