試合前に対戦チームの選手を平手打ちは、ウィル・スミスを真似たのではなく、その理由もまったく違い…
5月27日、シンシナティ・レッズの本拠地、グレートアメリカン・ボールパークで、試合前の練習中に事件が起きた。ジ・アスレティックのC.トレント・ローズクランズとアンドルー・バッガリーが発表した記事によると、現場はレフトのフィールドだ。トミー・ファム(レッズ)がジョク・ピーダーソン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に、平手打ちを喰わせた。
出場が予定されていたファムは、試合直前にスターティング・ラインナップから外れた。MLB機構が調査を行い、それが済むのを待つようだ。一方、ピーダーソンは「4番・レフト」として出場し、2回表に内野安打を打ち、8回表に押し出し死球で1打点を挙げた。試合は、5対1でレッズがジャイアンツを下した。
ローズクランズは、ファムの行為について、こちらはツイートのなかで「ウィル・スミス-スタイル」と形容している。アトランタ・ブレーブスのリリーフ投手とロサンゼルス・ドジャースの捕手ではなく、俳優のウィル・スミスがアカデミー賞の授賞式でしたような平手打ちだったということだ。
ただ、スタイルは同じでも、その理由はまったく違う。こちらは、ファンタジー・フットボールだ。ちなみに、アメリカにおいて、フットボールはアメリカン・フットボール(アメフト)を意味する。
マーキュリー・ニューズのエバン・ウェベックは、試合後にピーダーソンがクラブハウスで語った内容を報じている。それによると、ファムとピーダーソンは、ファンタジー・リーグに参加していた。NFLのファンタジー・リーグだ。そこで、ピーダーソンが行った選手の異動について、ファムを含むグループのメンバーから、ルール違反ではないかという意見が出たという。ピーダーソンは違反ではなかったと主張し、その後、ファムも似たようなことをしたと説明している。
NFLのファンタジー・リーグは、実際のNFLと連動している。ベースボールの場合もそうだが、一般的なファンタジー・リーグでは、参加者が、定められた年俸総額に収まるように選手を選び、自分のチームを作る。それらの選手が実際にプレーして記録した各スタッツは、それぞれ、こちらも規定のポイントに換算される。参加者は、その合計ポイントを競う。
NFLのレギュラーシーズンは、1月に終わった。その翌月にはロサンゼルス・ラムズがスーパーボウルを制し、オフシーズンに入った。今回の平手打ちの原因は、数ヵ月あるいは半年以上も前の出来事だった、ということになる。
なお、ピーダーソンは、ファムとはもうファンタジー・フットボールはしない、と言っているという。