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「エラーによるサヨナラ」が1日2試合。過去にもこんな日はあった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライアン・レイノルズ(左)とキブライアン・ヘイズ Apr 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月30日、ピッツバーグ・パイレーツとボルティモア・オリオールズは、どちらも相手のエラーにより、10回裏にサヨナラ勝ちを収めた。敗れたのは、サンディエゴ・パドレスとボストン・レッドソックスだ。

 パイレーツは、5対6で迎えた10回裏の無死二塁から、キブライアン・ヘイズがヒットを打ち、同点に追いついた。続いて、ブライアン・レイノルズの打球は、一塁手のエリック・ホズマーが差し出したグラブの下を抜けていき、ライト線を転がっていった。ヘイズは、三塁を回ってホームへ。ボールは、ライトのトレイス・トンプソン→ホズマー→捕手のホーヘイ・アルファロと戻ってきた。ヘイズの左手がホームに触れるよりもアルファロのタッチが早かったとして、球審はアウトを宣告したが、ビデオ判定の結果、ホームインが認められ、試合は終わった。打球を捕り損ねたホズマーにはフィールディング・エラーが記録され、レイノルズに打点はつかなかった。ホズマーは守備がうまく、ゴールドグラブを4度受賞している。

 一方、オリオールズは、1対1の10回裏に代打のライアン・マッケンナが敬遠四球で歩かされ、無死一、二塁となったところで、ロビンソン・チリーノスが送りバントを試みた。バットには当てたものの、あまりいいバントではなく、ふわりと小さく上がった打球をワンバウンドで捕球した澤村拓一は、三塁へ投げた。タイミングとしては、封殺となるはずだった。ところが、送球は高すぎ、三塁手のラファエル・デバースがジャンプしても届かなかった。ヘイズと違い、二塁走者のホルヘ・マテイオは、ゆっくりとホームインした。こちらは、澤村のスローイング・エラーだ。

 この2試合について、スタッツ・バイ・スタッツは、同じ日に2つのウォーク・オフ・エラー(打点なしの決勝点)は、ブレーブスとパドレスが勝った1999年7月10日以来、とツイートしている。ウォーク・オフ=サヨナラだ。このとおりなら、21世紀に入ってからは、今回が初めてということになる。

 23年前の2試合は、アトランタ・ブレーブスがレッドソックスに勝ち、パドレスはテキサス・レンジャーズを下した。レッドソックスでエラーを犯したのは、こちらもバントを処理し損ねた投手、ジョン・ワズディンだった。ワズディンは、2002年に読売ジャイアンツ、2009年は埼玉西武ライオンズで投げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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