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ゲレーロJr.の「1試合3本塁打」は2度目。どちらも最初の2本は大物投手から

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)Apr 13,2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月13日、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は、3本のホームランを打った。1本目はセンターのアーロン・ヒックス(ニューヨーク・ヤンキース)のグラブに当たり、フェンスの上部で跳ね、フィールドへ戻ってきた。ただ、グラブに触れなければ、そのままフェンスをオーバーしていたと思われる。2本目は左中間のブルペン後方の広告を直撃し、3本目はレフトのスタンドへ飛び込んだ。1本目と2本目の間には、一塁を守っていて、走ってきたヒックスに右手の薬指を踏まれたが、打撃には影響しなかった。

 打った相手は、1本目と2本目がゲリット・コール、3本目はジョナサン・ローアイシガだ。コールからは、2本のホームランに続き、二塁打も打った。コールは、ヤンキースのエースだ。この日は5.2イニングを投げて6三振を奪い、ゲレーロJr.以外に打たれた安打は1本(二塁打)しかなかった。3失点は、ゲレーロJr.のソロ本塁打と2ラン本塁打によるものだ。

 ゲレーロJr.の1試合3本塁打は、昨年4月27日に続く2度目。MLB.comのサラ・ラングスによると、23歳28日で2度目の1試合3本塁打は、22歳315日のブーグ・パウエルに次ぐ、史上2番目の若さだという。通算339本塁打のパウエルは、1963年8月10日と1964年6月27日、1966年8月15日に1試合3本。打撃タイトルは獲得していないが、1970年にMVPを受賞した。

 ゲレーロJr.は、前回の1試合3本塁打も、最初の2本を大物投手から打っている。当時はワシントン・ナショナルズにいた、マックス・シャーザー(現ニューヨーク・メッツ)だ(3本目の相手は、カイル・フィネガン)。この日のシャーザーは、5イニングで5奪三振、被安打8本、7失点(自責点5)ながら、そのうちの5失点はゲレーロJr.に打たれたグランドスラムとソロ本塁打だった。

 シャーザーは、父のブラディミール・ゲレーロにも、ホームランを打たれている。2010年4月23日と2011年8月13日に、1本ずつだ。ゲレーロ親子のどちらにホームランを喫した投手は、シャーザーとイバン・ノバしかいない。ノバは、父に2本と息子に1本。今後、そうなる可能性があるのは、ザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)とリッチ・ヒル(ボストン・レッドソックス)くらいだ。また、ゲレーロは通算449本塁打だが、1試合3本以上は一度もなかった。

 なお、今シーズン、ゲレーロJr.は、開幕3試合目のホームランと合わせて、4本塁打を記録している。他に4本以上の選手は皆無。昨シーズン、ゲレーロJr.と本塁打王を分け合ったサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)は、2本だ。こちらは、4月12日に1本目と2本目を打っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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