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通算150勝以上を挙げながら「日本シリーズに出場していない」投手たち。現役投手には100勝以上が2人

宇根夏樹ベースボール・ライター
平松政次 1977(写真:岡沢克郎/アフロ)

 通算150勝以上を挙げた49人のなかには、日本シリーズに出場していない投手もいる。303勝のビクトル・スタルヒン、237勝の野口二郎、201勝の平松政次、197勝の長谷川良平、166勝の坂井勝二がそうだ。もっとも、スタルヒンと野口は、1リーグ時代に活躍した。2リーグ制がスタートし、日本シリーズが行われるようになった1950年以降は、スタルヒンが51勝(1950~55年)、野口は20勝(1950~53年)だ。150勝以上で日本シリーズ出場なしは、実質的には3人ということになる。

 平松は、1967年から1984年まで、キャリアを通して大洋ホエールズ/横浜大洋ホエールズで「カミソリ・シュート」を投げ続けた。この18年間に、大洋/横浜大洋が勝ち越したシーズンは4度。リーグ優勝球団との差が5ゲーム未満は、一度もなかった。

 長谷川は、1950年から1963年まで、広島カープ一筋。こちらは、平松がいた大洋/横浜大洋以上に弱く、勝ち越したのは1960年だけ。それも、62勝61敗7分(勝率.504)。貯金は1しかなかった。3位以上のシーズンは皆無だ。

 平松と長谷川の2人と違い、坂井は3球団で投げ、在籍時に球団が日本シリーズに進出したこともある。一軍2年目の1960年がそうだ。この年の毎日大映オリオンズは、82勝48敗3分(勝率.631)。2位の南海ホークスに4ゲーム差をつけた。だが、当時の坂井は、今で言うブレイク前。日本シリーズには出場していない。また、大洋へ移って平松とチームメイトになった1970年は、坂井がそれまで在籍していたロッテ・オリオンズが、パ・リーグを制した。

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 日本シリーズで投げたことのない現役投手では、金子千尋(北海道日本ハム・ファイターズ)の129勝が最も多い。金子に次ぐのは、101勝の西勇輝(阪神タイガース)だ。彼らは、2018年のオフに現在の球団へ移るまで、オリックス・バファローズでともに投げた。

 ちなみに、100勝以上の現役投手は、金子と西以外に8人いる。彼らのうち、177勝の石川雅規(東京ヤクルト・スワローズ)は、初めて日本シリーズに出場した時点の通算白星が、現在の金子よりも多かった。2015年の日本シリーズ初出場までに、石川は144勝を挙げた。

 また、400勝の金田正一は、1950~64年に国鉄スワローズで投げた後、読売ジャイアンツへ移り、1965年に初めて日本シリーズのマウンドに上がった。その時点の通算白星は、国鉄時代の353勝と1965年の11勝を合わせ、364勝に達していた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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