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MLBの最低年俸は安いのか高いのか。昨年は約57万ドル。他のスポーツと比べると…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョナサン・インディア(シンシナティ・レッズ)Sep 16, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、4月1日にメジャーデビューしたジョナサン・インディア(シンシナティ・レッズ)は、レギュラーの二塁手として、21本のホームランを打って12盗塁を決め、打率.269と出塁率.376、OPS.835を記録した。そして、ほぼ満票で新人王を受賞。30人中29人から、1位に挙げられた。

 インディアの年俸は、57万500ドルだった。これは、2021年のミニマム・サラリー(最低年俸)だ。その10年前、2011年の最低年俸は41万4000ドルだったので、そこから15万6500ドルの増加ということになる。

 ただ、2021年のMLBの最低年俸は、北米4大スポーツのなかで最も少なかった。NBAは92万5258ドル、NHLは75万ドル、NFLは66万ドルだ。もちろん、「ビッグ・フォー」というだけで単純に比較することはできないが、MLBとNBAの最低年俸は、35万ドル以上の差がある。

 かつては、これほどの差はなかった。例えば、2012年のMLBの最低年俸は、上から2番目に位置していた。NHLが52万5000ドル、MLBが48万ドル、NBAが47万3604ドル、NFLは39万ドルだ。

 そこから、MLBも金額は増えているものの、2012年→2021年のアップが18.9%であるのに対し、他はいずれも40%を超える。NHLが42.9%、NFLが69.2%、NBAは95.4%だ。

筆者作成
筆者作成

 今回の労使交渉では、最低年俸も主な争点の一つとなっている。MLBネットワークのジョン・ヘイマンらによると、MLB機構が最初に提示した最低年俸は60万ドル。選手会の要求は77万5000ドルなので、17万5000ドルの隔たりがあった。そこから、MLB機構は61万5000ドルの再提示を経て、こちらはMLBネットワークのジョン・モロシらによると、現在は70万ドルを申し出ているという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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