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日本プロ野球でプレーした「ランディ・ジョンソン」と「ボブ・ギブソン」と「ジョン・レスター」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョン・レスター May 9, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 ランディ・ジョンソンは、殿堂投手だ。1988~2009年にメジャーリーグで投げ、4875三振を奪い、303勝を挙げた。他に、300勝と4000奪三振をどちらも達成しているのは、スティーブ・カールトン(329勝&4136奪三振)、ノーラン・ライアン(324勝&5714奪三振)、ロジャー・クレメンス(354勝&4672奪三振)しかいない。正確に言うと、4000奪三振以上は4人しかおらず、彼らはいずれも300勝以上を挙げている。

 ただ、他の3人と違い、メジャーリーグでプレーした「ランディ・ジョンソン」は、彼だけではない。ベースボール・リファレンスによると、3人いる。野手のランドール・スチュアート・ジョンソンランドール・グレン・ジョンソン、そして、3人目のランドール・デビッド・ジョンソンが、大投手の「ビッグ・ユニット」だ。混乱を避けるため、ここからは、それぞれ、スチュアートとグレン、ビッグ・ユニットと表記する。

 スチュアートとグレンも、メジャーデビューは1980年代だ。けれども、メジャーリーグの試合に出場したシーズンは、ビッグ・ユニットとは重なっていない。スチュアートは1980年と1982年にア・リーグで出場101試合、グレンは1982~84年にナ・リーグで出場204試合。インターリーグが始まったのは、1997年だ。また、グレンは、1987~88年に日本プロ野球でもプレーし、広島東洋カープの選手として142試合に出場した。

 ビッグ・ユニットが投手であるのに対し、スチュアートとグレンは野手だが、なかには、殿堂入りした投手と同じ名前を持つ投手もいる。1983~87年にミルウォーキー・ブルワーズなどで投げ、12勝を挙げた、ボブ・ギブソン(ロバート・ルイス・ギブソン)がそうだ。大投手のボブ・ギブソン(ロバート・ギブソン)は、1959~75年にセントルイス・カーディナルスで投げ、251勝を記録した。彼らは、2人とも右投手だった。

 グレンと同じく、12勝のギブソンも、日本プロ野球でプレーした。1988年にヤクルト・スワローズで23試合に先発し、7勝11敗、防御率4.87。この年のセ・リーグで規定投球回に達した18人中、防御率4.40以上は他にいなかった。一方、殿堂投手のギブソンは、1968年に防御率1.12を記録している。こちらは、1915年以降のメジャーリーグ――ナ・リーグとア・リーグ――における、最も低いシーズン防御率だ。

 なお、2009~10年にオリックス・バファローズで投げたジョン・レスターと、今オフに引退した200勝投手のジョン・レスターは、右投手と左投手であるだけでなく、名前の綴りが違う。Jon LeicesterとJon Lesterだ。もっとも、発音は同じ(あるいはよく似ている)。また、彼らは、同じ試合に登板したことがある。2007年9月2日に、Lesterがボストン・レッドソックスの先発投手として投げ、Leicesterはボルティモア・オリオールズの2番手として登板した。その数日後、ホームとアウェーが入れ替わり、レッドソックスとオリオールズが顔を合わせた9月6~9日のカードでは、7日にLester、8日にLeicesterが先発登板。それぞれ、7イニングを投げて無失点と5イニングで4失点ながら、2日続けて「ジョン・レスター」が白星を挙げた。

 左投手のレスターについては、こちらでも書いた。

「「200勝ちょうど」で引退はレスター以外に何人いる!? 日本プロ野球は1人だけ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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