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被本塁打ゼロの投手。今年のロベルト・スアレスと平良海馬は60イニング以上で0本

宇根夏樹ベースボール・ライター
平良海馬 JULY 31, 2021(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今シーズン、阪神タイガースのロベルト・スアレス(現サンディエゴ・パドレス)と埼玉西武ライオンズの平良海馬は、ホームランを打たれなかった。平良は、オリンピックで元オリックス・バファローズのジョーイ・メネセスにホームランを喫したが、シーズンの被本塁打は0本だ。62登板で60.0イニングを投げ、防御率は0.90。こちらも62登板のスアレスは、62.1イニングで防御率1.16を記録した。

 セ・リーグで被本塁打がなかった投手のうち、スアレスに次ぐイニングを投げたのは、47.0イニングの原樹理(東京ヤクルト・スワローズ)だ。パ・リーグは、25.0イニングの国吉佑樹(千葉ロッテ・マリーンズ)が、平良に次いだ。国吉は、6月のトレードで横浜DeNAベイスターズから千葉ロッテへ。移籍前の29.2イニングも被本塁打は1本しかなかったが、防御率は5.16と高かった。それが、移籍後は防御率1.44と一変した。

 過去20シーズン(2001~20年)に50イニング以上を投げて被本塁打ゼロは、延べ13人を数える。浅尾拓也は、2008年と2011年の2度だ。どのシーズンもいるわけではなく、2001~04年、2012年、2016年、2018~20年は、両リーグとも不在だった。ちなみに、20世紀最後の50イニング以上&被本塁打ゼロは、2000年の柏田貴史だ。読売ジャイアンツで53.0イニングを投げ、防御率2.89を記録した。

 今シーズンのスアレスと平良は、今世紀14人目と15人目ということになる。60イニング以上に限ると、6人目と7人目だ。その顔ぶれは、以下のとおり。

筆者作成
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 また、この15人から、福岡ソフトバンク・ホークス(6人)、中日ドラゴンズ(3人)、北海道日本ハム・ファイターズ(2人)の投手を除くと、2009年に広島東洋カープで75.0イニングのマイク・シュルツと2017年に52.2イニングの松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)に、今シーズンのスアレスと平良しか残らない。

 なお、今シーズン、規定投球回に達した投手のなかで、被本塁打が最も少なかったのは、セ・リーグが各11本の柳裕也(中日)と青柳晃洋(阪神)、パ・リーグは7本の山本由伸(オリックス)だ。柳の防御率2.20と山本の防御率1.39は、どちらもリーグで最も低く、青柳の防御率2.48はリーグ2位に位置した。パ・リーグでは、規定投球回以上の14人中、山本を含む4人の被本塁打が一桁。彼らは、防御率のリーグ・ベスト4に並んだ。

 一方、セ・リーグでは最多となる、19本のホームランを打たれた戸郷翔征(読売ジャイアンツ)は、防御率4.27も規定投球回以上のワーストに位置した。パ・リーグは、二木康太(千葉ロッテ)の被本塁打が最も多く、規定投球回未満の117.0イニングで24本を喫し、防御率は4.38を記録した。もっとも、この防御率は、千葉ロッテで100イニング以上を投げた4人のなかで、2番目に低い。二木よりも防御率が高かった2人は、115.1イニングで防御率4.92の美馬学と、120.0イニングで防御率4.43の岩下大輝だ。それぞれの被本塁打は、こちらも多めながら、二木と比べるとかなり少ない、15本と14本だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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