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リーグ優勝の球団以外でMVP投票の順位が最も高かった選手。今年は4位の岡本和真と5位の益田直也

宇根夏樹ベースボール・ライター
大野雄大 AUGUST 2, 2021(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 リーグMVP(最優秀選手)の票は、リーグ優勝を成し遂げた球団の選手に集まりやすい。今年のセ・リーグは、トップ3に東京ヤクルト・スワローズの選手、村上宗隆山田哲人清水昇が並び、パ・リーグは、オリックス・バファローズの選手が、1位から4位までを占めた。こちらは、山本由伸杉本裕太郎吉田正尚宮城大弥だ。

 彼らを除くと、セ・リーグは4位の岡本和真(読売ジャイアンツ)、パ・リーグは5位の益田直也(千葉ロッテ・マリーンズ)が、最も上位にランクインした。クライマックス・シリーズに進めなかった球団の選手では、それぞれ、鈴木誠也(広島東洋カープ)の5位と柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)の6位タイが最も高い順位だった。

 ここ20年(2002~2021年)のMVP投票における、リーグ優勝を逃した球団のトップとリーグを制した球団のトップは以下のとおり。

筆者作成
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 ご覧のとおり、その差は歴然としている。セ・リーグでリーグ優勝以外の球団からMVPに選ばれたのは、2013年に60本のホームランを打ったウラディミール・バレンティンだけ。2リーグ制がスタートした1950年まで遡っても、他には、1964年と1974年の王貞治しかいない。1964年の王は、55本塁打のシーズン新記録を樹立し、1974年は前年に続いて三冠王となり、2年連続でMVPに選ばれた。

 一方、パ・リーグの場合、リーグ優勝以外の球団からのMVPは、球史全体とここ20年のどちらも、セ・リーグより少し多い。ただ、ここ20年の4人中3人、2004年の松中信彦、2005年の杉内俊哉、2014年の金子千尋は、そのシーズンの個人成績を別にしても、リーグ最多の白星を挙げた球団でプレーしている。2004年の福岡ダイエー・ホークスと2005年の福岡ソフトバンクは、白星だけでなく勝率もリーグ1位ながら、リーグ優勝を逃した。2004~06年のパ・リーグは、プレーオフの第1ステージで勝率2位と3位の球団、第2ステージで勝率1位の球団と第1ステージの勝者が対戦し、それを制した球団がリーグ優勝を手にしていた。

 また、ここ6年のパ・リーグは、リーグ優勝の球団の選手がMVP投票のトップ3を独占している。2019年以降のここ3年に限れば、トップ4がそうだ。ここ4年のセ・リーグも、トップ3にランクインしたのは、昨年の投票で3位となった大野雄大(中日ドラゴンズ)しかいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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