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マリナーズが獲得した二塁手の「期待」と「不安」。打率と安打はナ・リーグ5位、二塁打も5位タイだが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アダム・フレイジャー Jul 27, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズが、マイナーリーガー2人と交換に、サンディエゴ・パドレスからアダム・フレイジャーを獲得した。

 来シーズン、フレイジャーは、二塁を守る予定だ。夏にヒューストン・アストロズから移籍後、二塁手としてプレーしてきたエイブラハム・トロは、本来のポジションである三塁へ移る。今オフ、マリナーズは、長年にわたって三塁を守ってきたカイル・シーガーの球団オプション、来シーズンの年俸2000万ドルを破棄した。

 フレイジャーは、シーガーのようなパワーは持ち合わせていない。今シーズンはピッツバーグ・パイレーツとパドレスで計155試合に出場し、ともにナ・リーグ5位の打率.305と176安打を記録したが、ホームランは計5本。シーガーの7分の1に過ぎなかった。一方、出塁率はフレイジャーが上。シーガーの.285に対し、フレイジャーは.368だ。こちらは、ナ・リーグ11位に位置した。

 また、フレイジャーは、ナ・リーグ5位タイの二塁打36本と、6位タイの三塁打5本を記録した。ホームランは少ないものの、シングル・ヒットばかりではなかった。こうしたことからすると、フレイジャーの加入は、マリナーズにとってプラスになり得る。守備においても、二塁だけでなく、外野も守れる。夏のトレード前には、マリナーズも獲得に興味を示していた。

 ただ、パイレーツとパドレスで記録したスタッツには、大きな落差がある。打率と出塁率は、移籍前の98試合が.324と.388、移籍後の57試合は.267と.327だ。

 前年までの通算5シーズン(510試合)は、打率.273と出塁率.336だった。この数値は、今シーズンの移籍前よりも移籍後に近く、移籍前の成績が一時的なものである可能性は否めない。二塁打と三塁打の本数は、2019年も33本と7本なので変わらないかもしれないが、来シーズン、ホームランが少ない上に出塁率もそう高くないとなると、マリナーズにしてみれば、期待外れだろう。ちなみに、これまでのシーズン本塁打は、2018年と2019年の10本が最多だ。

 マリナーズは、来シーズンこそ、2001年を最後に遠ざかるポストシーズンへたどり着くため、フレイジャーを獲得した。現時点では、今後数年を見据えた補強ではない。来シーズンが終わると、フレイジャーはFAになる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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