Yahoo!ニュース

試合が始まった時はチームにいなかった投手が、白星を挙げる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニエル・ハドソン(サンディエゴ・パドレス)Sep 16, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月24日、ダニエル・ハドソン(サンディエゴ・パドレス)は、6回裏のマウンドに上がり、1イニングを投げて勝利投手になった。アダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)にホームランを打たれ、同点に追いつかれたものの、パドレスが7回表に1点を挙げ、そのまま逃げきった。ハドソンには、セーブ失敗と白星がついた。

 試合の途中まで、ハドソンはパドレスにはいなかった。この試合が始まったのは、7月21日だ。雨により、5回表が終わったところで中断し、2ヵ月後の9月24日に続きが行われた。トレード・デッドラインの7月30日に移籍するまで、ハドソンはワシントン・ナショナルズにいた。

 ハドソンからホームランを打ったデュボールも、同様だ。ハドソンと同じ日に、マイアミ・マーリンズからブレーブスへ移った。

 この2人は、7月21日に行われた、同じ試合に出場している。デュボールはマーリンズの「4番・ライト」として先発出場し、ハドソンはナショナルズの3番手として1イニングを投げた。2人の対戦はなかったものの、ハドソンが3アウト目を記録した時、オンデック・サークルにはデュボールがいた。

 イライアス・スポーツ・ビューローによると、記録上、ハドソンとデュボールはどちらも、同じ日に違うチームの選手としてプレーしたと看做されるという。ハドソンは7月21日にナショナルズとパドレス、デュボールは7月21日にマーリンズとブレーブスだ。

 もっとも、これは史上初ではない。今から99年前には、記録上だけでなく実際に、同じ日に違うチームの選手としてプレーした例がある。

 1922年5月30日のことだ。ダブルヘッダーの1試合目と2試合目の間に、対戦中のセントルイス・カーディナルスとシカゴ・カブスがトレードを成立させ、外野手を交換した。クリフ・ヒースコートがカーディナルスからカブス、マックス・フラックはカブスからカーディナルスへ移り、2人とも、1試合目と2試合目は違うチームの選手として出場した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事