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大谷翔平のように2ヵ月続けて「月間最優秀選手」に選ばれた選手は、シーズンMVPも受賞しているのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(奥)とジョー・マッドン Jul 16, 202(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月の月間最優秀選手(プレーヤー・オブ・ザ・マンス)に、ナ・リーグはジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)、ア・リーグは大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が選ばれた。

 メジャーリーグ15年目のボトーは、キャリア初の選出。7月24日から30日にかけて、7試合連続ホームランを記録した。メジャーリーグ4年目の大谷は、6月に続く2度目の選出だ。7月の9本塁打はボトーより2本少ないものの、ア・リーグでは他2人と並んで最も多く、OPS1.067は月間30打席以上の175人中トップ。また、7月は3登板とも、6イニング以上を投げて2失点以下に抑えた。ちなみに、ボトーのOPS1.174はナ・リーグのトップではなく――こちらも30打席以上は同じく175人――僅差ながら、1.176のホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)が最も高かった。

 大谷のように、1シーズンの間に2ヵ月続けて月間最優秀選手に選ばれた選手は、これまでに延べ20人を数える。ホゼ・バティスタジョシュ・ハミルトンが2度ずつ。1998年のマーク・マグワイアは、4月と5月に加え、9月も月間最優秀選手に選出された。このアウォードがスタートしたのは、ナ・リーグが1958年5月、ア・リーグは1974年4月だ。

筆者作成
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 彼らのうち、そのシーズンにMVPを受賞したのは6人。割合は30.0%(6/20)だ。最初の3人、1968年6月&7月に月間最優秀選手のボブ・ギブソン、1978年8月&9月のデーブ・パーカー、1985年8月&9月のドン・マッティングリーは、いずれもMVPを手にしたが、その後は、1994年6月&7月のジェフ・バグウェルと1996年8月&9月のケン・カミニティ、2006年8月&9月のライアン・ハワードの3人にとどまる。ア・リーグに限ると、2ヵ月続けて月間最優秀選手に選ばれ、シーズン終了後にMVPを受賞したのは、1985年のマッティングリーしかいない。

 MVP投票2位に終わった5人中、惜しかったのは、1995年8月&9月のアルバート・ベルだ。受賞したモー・ボーン――どの月も、月間最優秀選手には選ばれなかった――の308ポイントに対し、ベルは300ポイント。1位票は12と11だった。

 ボーンとベルの成績を比べると、スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)はいずれもベルが勝る。ボーンのホームランは、本塁打王を獲得したベルより11本少ない。打点王のタイトルは、2人で分け合った。守備と走塁が大きな要因になったとは考えにくく、記者に好かれているかどうか(あるいは嫌われているかどうか)が、MVP投票の結果につながったとしか思えない。ベルは、ホームランも二塁打も50本以上を記録した。ナ・リーグとア・リーグの球史において、この「50-50」を達成した選手は、他にいない。

 なお、1シーズンに3度、月間最優秀選手に選ばれたのは、1998年のマグワイアだけ。4度以上は皆無だ。今シーズンの大谷は、ここからマグワイアに並び、追い越す可能性もある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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