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借金11で折り返したチームが、後半戦は7勝0敗。トレード市場で「売り手」から「買い手」に回る!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョナサン・スコープ(デトロイト・タイガース)Jul 17, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 後半戦に入ってから、デトロイト・タイガースは一度も負けていない。7試合を行い、すべて白星を挙げている。両リーグで無敗はタイガースだけ。他はすべて、少なくとも2敗を喫している。テキサス・レンジャーズに至っては、7試合とも黒星だ。

 それでも、今秋のポストシーズン進出をめざし、タイガースがトレード市場で「買い手」に回ることはないだろう。前半戦は40勝51敗だったので、まだ借金は4残っている。地区首位との差は12ゲーム。ワイルドカード・レースではロサンゼルス・エンジェルスの下にいて、2番手のオークランド・アスレティックスまでは9ゲーム差だ。

 また、7連勝のうち、前半の3試合はミネソタ・ツインズ、後半の4試合はレンジャーズが相手だった。どちらも、強いチームではない。タイガースと同じ、ア・リーグ中地区のツインズは、前半戦の終盤まで最下位にいた(前半戦の最後にタイガースをスウィープし、最下位を脱した)。レンジャーズは、ア・リーグ西地区で最下位を「独走」している。後半戦が始まる前からだ。

 ここからの10試合でタイガースが顔を合わせる相手、カンザスシティ・ロイヤルズ(3試合)、ツインズ(3試合)、ボルティモア・オリオールズ(4試合)も強くなく、いずれも勝率はタイガースより低いが、すべて勝って連勝を17に伸ばし、貯金を6としても、ポストシーズン進出は見えてきそうにない。現在、地区首位のシカゴ・ホワイトソックスは貯金20、ワイルドカード2番手のアスレティックスは貯金14だ。

 放出の筆頭候補は、今オフにFAとなるジョナサン・スコープだろう。ここまでの打撃成績は、打率.287と出塁率.327、ホームラン17本と二塁打15本を打ち、OPSは.800。一塁手としては物足りないが、二塁手を欲している球団にフィットする。今シーズンは一塁を守ることが多いものの、昨シーズンまでのスコープは二塁を定位置としていた。左投手をよく打っているので、左打者と併用するのもいい。獲得した球団が負担する年俸の残り分も、160万ドル前後と高くない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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