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増井は「12球団勝利&12球団セーブ」に挑む。MLBで「30球団勝利&30球団セーブ」は何人達成!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
増井浩俊 MARCH 5, 2017(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 5月30日、増井浩俊(オリックス・バファローズ)は先発マウンドに上がり、東京ヤクルト・スワローズに対して投げる。12球団中、増井が白星を挙げていない相手は、東京ヤクルトだけだ。12球団からのセーブは3年前に達成しているので、この試合には、12球団からの白星のみならず、日本プロ野球初の「12球団勝利&12球団セーブ」がかかっている。

 では、メジャーリーグに同じような記録を達成した投手はいるのだろうか。こちらは「30球団勝利&30球団セーブ」だ。球団数は日本プロ野球の倍以上だが、メジャーリーグは日本プロ野球よりも移籍が多い。なお、メジャーリーグは、1998年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスとタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)が加わり、28球団から30球団に増えた。モントリオール・エクスポズとワシントン・ナショナルズは、1球団として数えている。移転により、エクスポズは2005年からナショナルズとなった。

 調べたところ、「30球団勝利」は19人、「30球団セーブ」は13人が見つかった。前者の19人目は、2019年9月14日に達成したザック・グレインキー(ヒューストン・アストロズ)。後者の13人目は、2015年8月5日に達成したラトロイ・ホーキンスだ。その後は出ていないと思われる。

「30球団勝利」の19人中、通算30セーブ以上は、86セーブのデレク・ロウしかいない。ロウがセーブを挙げた相手は、18球団にとどまる。通算二桁のセーブも、ロウの他には、22セーブのカート・シリングだけ。こちらは11球団だ。ランディ・ジョンソンバリー・ジートバートロ・コローンら、リリーフ登板が30試合未満は、過半数の10人を数える。通算0セーブも、同じく10人だ(顔ぶれは違う)。マックス・シャーザー(ナショナルズ)とグレインキーは現役投手だが、これまでの通算セーブは、それぞれ0と1に過ぎない。2人は、今シーズンも先発投手として投げている。

筆者作成
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 一方、「30球団セーブ」の13人は、そのうちの10人が通算30勝以上を挙げている。けれども、白星を挙げた相手は、最も多いホゼ・メサとホーキンスでも、27球団だ。

筆者作成
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 もしかすると、「30球団勝利」と「30球団セーブ」のどちらも未達成ながら、「30球団勝利&30球団セーブ」まであと2球団、勝利もセーブも残り1球団ずつという投手はいるかもしれない。けれども、30球団コンプリートにリーチをかけた投手は皆無だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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