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特別ルールにより、初回を「1アウトで終了」にしてもらった投手が、次の回もマウンドに上がって…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ギャレット・リチャーズ Sep 13, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、スプリング・トレーニングの試合(エキシビション・ゲーム)には、特別ルールが適用されている。新型コロナウイルスの蔓延に伴い、選手の健康を考慮したものだ。

 対戦する両チームの監督が、その試合を何回まで行うか、あらかじめ決めることができる。また、試合中、投手が1イニングに20球以上を投げた場合、守備についているチームの監督は、何アウトであるかにかかわらず、そのイニングを打ち切ることができる。

 アトランタ・ブレーブスとボストン・レッドソックスが対戦した3月1日の試合では、こんなことが起きた。

 1回表、ギャレット・リチャーズ(レッドソックス)は、最初の打者3人を出塁させ(二塁打、四球、ヒット)、4人目を三振に仕留めたものの、そこからまた、2人続けて塁に出した(ヒット、四球)。3人目のヒットと6人目の押し出し四球で計2点が入り、なおも1死満塁だ。リチャーズの投球数は23。アレックス・コーラ監督(レッドソックス)は、この時点でイニングを打ち切り、試合は1回裏へ進んだ。

 だが、リチャーズはそこで降板しなかった。引き続き、2回表もマウンドに上がった。そして、今度は3人でイニングを終わらせた。最初のアウトは外野手の好守によるものだったが、あとの2アウトは2本の内野ゴロを打たせた。

 ベテランが投球を修正した、という見方もできる。リチャーズは32歳。今シーズンは、メジャーリーグ11年目となる。もっとも、当然ながら、イニングを途中で打ち切ってもらい、次のイニングに立て直しを図ることは、シーズンに入ってからはできない。

 今オフ、サンディエゴ・パドレスからFAになったリチャーズは、1年1000万ドルでレッドソックスに入団した。ローテーションの一角を担うことが期待されている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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