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ローテーションに「キングとナイト」が揃う!? 「ビショップ」や「クイーン」はいないけれど…

宇根夏樹ベースボール・ライター
フェリックス・ヘルナンデス APRIL 5, 2010(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、ボルティモア・オリオールズのローテーションには、「キングとナイト」が揃うかもしれない。オリオールズとマイナーリーグ契約を交わし、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)としてスプリング・トレーニングに参加する投手のなかには、フェリックス・ヘルナンデスマット・ハービーがいる。

 シアトル・マリナーズ時代のフェリックスは「キング・フェリックス」と呼ばれ、2009年から2014年までは、ニックネームどおり、ゲームを支配した。この6シーズン中、230イニング未満は2013年(204.1イニング)しかなく、防御率3.10以上は2011年(3.47)だけ。2009年は最多勝、2010年と2014年は防御率のタイトルを獲得し、2010年はサイ・ヤング賞にも選ばれた。

 一方、2012年にニューヨーク・メッツからデビューしたハービーは、翌年5月にスポーツ・イラストレイテッド誌の表紙を飾った際に「ゴッサムのダーク・ナイト」と謳われた。トミー・ジョン手術を受けて全休した2014年を挟み、ハービーは2013年と2015年に175イニング以上を投げ、いずれも防御率2点台を記録した。

 ただ、規定投球回に達したのは、2人とも2015年が最後だ。2018年は155イニング以上を投げたが、フェリックスの防御率は5.55、ハービーは4.94。2019年はどちらも75イニングにさえ届かず、防御率は6.40と7.09だった。昨シーズン、フェリックスは全休を選択し、ハービーは7登板(4先発)で防御率11.57に終わった。

 現在、フェリックスは34歳、ハービーは31歳だ。4月1日の開幕前後に、それぞれ誕生日を迎える。

 年齢はハービーよりも上ながら、ローテーション入りの可能性は、フェリックスの方が高そうだ。昨年1月にアトランタ・ブレーブスとマイナーリーグ契約を交わしたフェリックスは、スプリング・トレーニングが打ち切られるまでに、4登板の計13.2イニングで防御率1.98を記録した。サンプル数は少ないものの、予定どおりに開幕していれば、故障者が出たのも理由だが、フェリックスはローテーションに加わっていたはずだ。

 また、「ビショップ」でも「クイーン」でもないが、フェリックスやハービーと同じく、2015年に埼玉西武ライオンズで投げたウェイド・ルブランも、ノン・ロースター・インバイティとしてオリオールズのスプリング・トレーニングに参加する。こちらは、再契約。前年も2月にマイナーリーグ契約を交わし、レギュラーシーズンの8先発で防御率8.06を記録した。現在の年齢は、36歳だ。

 今のところ、オリオールズでローテーション入り間違いなしと断言できる投手は、ジョン・ミーンズしか見当たらない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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