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ダルビッシュとスネル、キムを手に入れたパドレスの野望は、来年のワールドシリーズ優勝にとどまらない

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダルビッシュ有(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスが、大型補強を行った。立て続けに2件のトレードを成立させ、タンパベイ・レイズからブレイク・スネルを得て、シカゴ・カブスからはダルビッシュ有(と専属捕手のビクター・カラティニ)を獲得した。さらに、韓国のキウム・ヒーローズにいたハソン・キム――ポスティング・システムを利用し、メジャーリーグ移籍をめざしていた――も手に入れた。いずれも公式発表は出ていないものの、まず間違いないだろう。

 スネルとダルビッシュは、ディネルソン・ラメットとともに、ローテーションの三本柱を形成する。2018年にア・リーグでサイ・ヤング賞を受賞した左腕と、2020年のサイ・ヤング賞投票でナ・リーグ2位と4位にランクインした右腕2人だ。彼らに続く4番手は、クリス・パダック。最後の1人は、エイドリアン・モアホンマッケンジー・ゴアとなりそうだ。

 一方、キムのポジションは確定していない。内外野を守る、スーパー・ユーティリティとして起用される可能性もある。パドレスの内野は、マニー・マチャドフェルナンド・タティースJr.が三遊間コンビを組み、一塁にエリック・ホズマー、二塁には2020年の新人王投票2位タイのジェイク・クローネンワースがいる。外野は、左から右へ、トミー・ファムトレント・グリシャムウィル・マイヤーズの3人だ。グリシャムは2020年に、ゴールドグラブを受賞した。

 また、クローザーはドルー・ポメランツが務める。正捕手がオースティン・ノラでは少し心許ない気もするが、ルイス・カンプサノもいる。10月にマリファナ所持で逮捕されたことはさておき、カンプサノはプロスペクトだ。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによれば、ダルビッシュの交換要員の一人として、名前が挙がっていたという。

 ストーブリーグはまだ終わっていないが、この顔ぶれであれば、ロサンゼルス・ドジャースの地区9連覇を阻み、球団初のワールドシリーズ優勝を狙える。しかも、このなかで来オフにFAとなるのは、ファムしかいない。2022年のオフにFAも1人だけ。マイヤーズのオプションを破棄した場合だけだ。あと3シーズンは、このメンバーが揃う。

 今シーズン、14年ぶりにポストシーズン進出を果たしたパドレスは、ここから黄金時代を築こうとしているように思える。

 なお、カブスがダルビッシュを放出した理由については、トレード前にこちらで考察した。

ダルビッシュ有のトレードは、なぜ起こり得るのか。6年契約はあと3年残っているにもかかわらず

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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