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追いついたのか、追いつかれたのか。2020年の広島東洋と東京ヤクルトは「引き分け」が10試合以上

宇根夏樹ベースボール・ライター
広島東洋はホームゲームの60試合中8試合、13.3%が引き分け(写真:長田洋平/アフロ)

 今シーズン、広島東洋カープの引き分けは12試合を数えた。東京ヤクルトスワローズも、10試合がそうだった。東京ヤクルトが10月に引き分けた4試合は、2試合連続が2度。19~20日の2試合も、29~30日の2試合も、同一カードではなかった。

 パ・リーグも含め、他10球団の引き分けは、いずれも8試合以下にとどまった。千葉ロッテマリーンズは最も少なく、3試合だった。

 広島東洋と東京ヤクルトの引き分けのうち、3試合は両球団が対戦しているが、広島東洋は対阪神タイガースと対読売ジャイアンツも3試合ずつ。東京ヤクルトも、対読売の引き分けが3試合あった。両球団とも、それぞれ5球団と引き分けている。ちなみに、読売の場合、引き分けた8試合中、残り2試合は対中日ドラゴンズなので、対横浜DeNAベイスターズと対阪神の引き分けはない。

 また、過去7年(2013~19年)に引き分けがシーズン二桁に達した球団は、まったくなかった。12球団×7シーズン=84球団で皆無だ。

 広島東洋と東京ヤクルトはいずれも負け越し、5位と6位に位置した。そのことから、追いつかれて引き分けに終わった試合が多かったのだろうと予想したが、必ずしもそうではなかった。途中経過はともかく、最後に得点を挙げた――追いついて最終スコアとなった――引き分けが、広島東洋は12試合中7試合、東京ヤクルトは0対0の1試合を除く9試合中6試合だ。どちらも半数を超えている。広島東洋の場合、引き分けたどの試合にも、ビハインドから同点に追いついた時点が存在した。

筆者作成
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 延長10回で打ち切りの特別ルールが引き分けの可能性を増し、それがたまたま、広島東洋と東京ヤクルトの試合に顕著に現れたということだろうか。昨シーズンと今シーズンを比べると、引き分けが減った球団は千葉ロッテ(4試合→3試合)だけ。他は、同数が3球団。広島東洋と東京ヤクルトを含む8球団は、増えている。全体としても、ほぼ倍増した。

 なお、その前に引き分けが多発したのは、2011~12年だ。この2シーズンは、それまでの延長12回のみならず、延長12回もしくは3時間半で打ち切りに。その結果、2011年は6球団(セ4球団、パ2球団)の引き分けが二桁に達し、2012年は埼玉西武ライオンズの引き分け9試合が12球団の最少だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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