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今シーズンの菅野智之と大野雄大のように、「MVPと沢村賞を同じリーグの違う投手」が受賞は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
菅野智之(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今シーズンのセ・リーグMVPは、菅野智之(読売ジャイアンツ)が受賞した。一方、沢村賞(沢村栄治賞)に選ばれたのは、大野雄大(中日ドラゴンズ)だ。

 セ・リーグにおいて、MVPと沢村賞を違う投手が受賞するのは、21年ぶり。1999年の野口茂樹上原浩治以来だ。この時は、両投手の球団が今シーズンとは逆。MVPの野口が中日、沢村賞の上原は読売に在籍していた。パ・リーグの最後は2012年だ。北海道日本ハムファイターズの吉川光夫がMVPに選ばれ、福岡ソフトバンクホークスの攝津正が沢村賞を手にした。

 これらを含め、MVPと沢村賞が同じリーグの違う投手は、16度を数える。セ・リーグが13度と圧倒的に多いのは、1950~88年の沢村賞がパ・リーグの投手を対象外としていたことが大きい。

 1962年と1981年のセ・リーグは、チームメイトの2投手が、それぞれの賞に選ばれた。その他の14度は、いずれも、リーグ優勝した球団の投手がMVPを受賞し、沢村賞の投手がいた球団は2位以下だった。

筆者作成
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 この16度のうち、MVP&ベストナインは今シーズンの菅野を含めて10人、沢村賞&ベストナインは5人。後者は、1947年の別所昭(毅彦)、1958年の金田正一、1979年の小林繁、1994年の山本昌広(昌)、1999年の上原がそうだ。1988年にセ・リーグでベストナインに名を連ねた投手は、MVPの郭源治でも沢村賞の大野豊でもなく、郭とチームメイトの小野和幸だった。

 また、16度中、1979年と1988年、1998年のセ・リーグは、リリーバーがMVPに選出されている。江夏豊、郭、佐々木主浩の3人とも、先発登板はなく、リーグ最多のセーブを挙げた。この3度を除く、MVPと沢村賞の成績は以下のとおり。

筆者作成
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 ちなみに、2014年の金子千尋(弌大/現・北海道日本ハム)のように、同じ投手がMVPと沢村賞を揃って受賞は15度。こちらは、セ・リーグが7度、パ・リーグは8度だ。

 なお、投手のMVPについては、2年前にこちらで書いた。その後、MVPを受賞した投手は、今シーズンの菅野しかいない。

日米で極端に違う、投手のMVP。日本プロ野球は受賞者の40%近くを占めるが、メジャーリーグでは

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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