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2球団で「最多勝」の投手たち。涌井秀章は史上初の3球団

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、田中将大、涌井秀章、ダルビッシュ有、岩隈久志 MAR 4, 2009(写真:アフロスポーツ)

 涌井秀章(東北楽天ゴールデンイーグルス)の最多勝は、まず間違いないだろう。10月14日の11勝目を最後に白星から遠ざかり、11月4日には千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)に並ばれたものの、他の投手も含め、追い越されることはないはずだ。

 涌井は、西武/埼玉西武ライオンズ(2007年と2009年)と千葉ロッテマリーンズ(2015年)でも、最多勝のタイトルを獲得している。3球団で最多勝は、史上初だ。

 2球団で最多勝は、涌井を含めて7人いる。彼らのうち、別所昭/別所毅彦が在籍したのは2球団なので、3球団で最多勝のチャンスはなかった。

筆者作成
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 今シーズン限りで引退する岩隈久志は、日本プロ野球で在籍した3球団のうち、読売ジャイアンツでは一軍の試合に投げていない。ただ、2012~17年のシアトル・マリナーズを含め、日米の3球団で最多勝の可能性はあった。ちなみに、マリナーズ時代のシーズン二桁勝利は、3度を数える。2013年の14勝と2014年の15勝はいずれもア・リーグ8位タイ、2016年の16勝は6位タイに位置した。

 他の4人は、いずれも日本プロ野球の3球団以上でプレーした。最多勝を獲得した2球団の他に、ビクトル・スタルヒン/須田博はパシフィック/太陽ロビンス(1946~47年)と高橋/トンボユニオンズ(1954~55年)で登板。川崎徳次は南海軍(1940~42年)、金田留広は広島東洋カープ(1979~81年)、セス・グライシンガーは千葉ロッテ(2012~13年)で投げた。

 これらのうち、1941~42年の川崎は12勝と15勝、2012年のグライシンガーは12勝を挙げた(他はいずれもシーズン10勝未満)。それぞれの順位は、9位タイと11位、4位タイ。川崎の場合、どちらの白星も最多勝を獲得した投手の半数以下だった。リーグ・トップ5にランクインしたグライシンガーも、最多勝の攝津正より5勝少なかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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