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ノーヒッターを達成されたチームの選手が、その3日後にノーヒッターを達成した投手とチームメイトに

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャロッド・ダイソン Aug 23, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月28日、ジャロッド・ダイソンは、ピッツバーグ・パイレーツからシカゴ・ホワイトソックスへ移籍した。これは、一種の金銭トレードだ。インターナショナル・サイニング・ボーナス・プール(海外のアマチュア選手と交わす契約金の総額枠)のうち、ホワイトソックスが持っていた24万3300万ドル分が、ダイソンと交換にパイレーツへ移った。

 トレードの3日前に、パイレーツはノーヒッターを達成された。この試合には、ダイソンも「8番センター」として出場し、ライト・フライと二塁ゴロ、空振り三振に終わった。その相手は、ホワイトソックスのルーカス・ジオリトだった。

 とはいえ、対戦した試合がノーヒッターかどうかを問わなければ、対戦相手からチームメイトになるまでのスパンが、もっと短かったケースはいくつもある。例えば、現在はミルウォーキー・ブルワーズにいるエリック・ソガードは、昨シーズン、7月27日にトロント・ブルージェイズの選手としてタンパベイ・レイズと対戦し、その翌日にブルージェイズからレイズへ移籍した。

 対戦とトレードが同日、ということも起きている。1922年5月30日には、ダブルヘッダーの1試合目と2試合目の間に、対戦中のセントルイス・カーディナルスとシカゴ・カブスがトレードを成立させ、外野手を交換した。クリスクリフ・ヒースコートがカーディナルスからカブス、マックス・フラックはカブスからカーディナルスへ移り、2人とも、1試合目と2試合目は違うチームの選手として出場した。

 今シーズンのダイソンは、打率.157(51打数8安打)、長打は0本だ。昨シーズンまでの打撃成績からしても、ジオリトをバットで援護する可能性は低い。ただ、ダイソンはスピードがあり、外野の守備でジオリトを援護することができる。ジオリトが投げる試合に限らないが、ホワイトソックスがダイソンを獲得した理由は、ここにある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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