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千賀滉大の「自責点ゼロで6失点」を上回る、自責点なしの大量失点

宇根夏樹ベースボール・ライター
吉井理人 July 20,1998(写真:ロイター/アフロ)

 8月11日の登板を終え、千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)のシーズン防御率は、4.25から3.53へ下がった。この日は6イニングを投げて6失点ながら、自責点はなかった。

 自責点ゼロで6失点以上は、今回の千賀が初めてではない。ざっと調べたところ、4人が見つかった。そのうち、2009年9月11日の馬原孝浩と2015年6月3日の藤浪晋太郎(阪神タイガース)は、千賀と同じく6失点だったが、他2人の失点はそれを上回る。2008年7月22日の内海哲也(現・埼玉西武ライオンズ)は7失点、2007年4月1日の吉井理人は(エイプリル・フールではなく)8失点だ。吉井は3回裏に、2本の満塁本塁打を打たれた。

 この4人と千賀が異なっているのは、その試合で白星を手にしたことだ。5対0で迎えた5回表に6点を取られて逆転されたものの、千賀は6回表を0点に抑え、その裏に柳田悠岐が3ラン本塁打を打ち、7回表からの3イニングは5投手がつないでリードを保った。

 一方、馬原、内海、吉井の3人は敗戦投手となった。チームが勝った藤浪には、白星も黒星もつかなかった。

 ただ、自責点ゼロで6失点以上は、この4人と千賀以外にもいそうな気がする。なかでも、吉井の前にある、半世紀以上にわたる「空白」が怪しい。そのなかには、千賀と同じように白星を挙げた投手もいるかもしれない。これについては、見つけることができるか、どなたかが教えてくだされば、また改めて書くつもりだ。

 なお、1950年6月7日の林直明は、1イニング(7回表)に自責点ゼロで10失点だが、他のイニングにも失点があり、登板全体としては自責点ゼロではない。

 馬原、藤浪、吉井、千賀の失点は、すべて1イニングに集中していて、他のイニングの失点はなかった(馬原は他のイニングに投げていない)。内海は、3回裏に3失点と4回裏に4失点。そのどちらも、自責点はゼロだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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