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通算100勝に届かなかった「90勝投手」たち。菅野と吉見は現在90勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
井川慶 July 16, 2007(写真:ロイター/アフロ)

 7月14日、菅野智之(読売ジャイアンツ)が勝利投手となり、6月27日の吉見一起(中日ドラゴンズ)に続き、史上167人目の通算90勝に到達した。

 167人中137人は100勝以上なので、90勝以上100勝未満(90~99勝)は30人となる。そのうち、7人は現役投手だ。吉見と菅野に加え、メジャーリーグには3人、田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、前田健太(ミネソタ・ツインズ)、ダルビッシュ有(シカゴ・カブス)がいる。彼らは日本プロ野球でそれぞれ、99勝、97勝、93勝を挙げた。また、96勝の成瀬善久は、栃木ゴールデンブレーブス(ルートインBCリーグ)の投手兼ピッチング・コーチだ。93勝の井川慶は、現時点ではどの球団にも在籍していないが、6月上旬に自身の公式サイトで、自分は現役投手と綴っている。

筆者作成
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 他の23人のなかにも、「100勝に届かなかった」と表現するのは、ふさわしくない投手もいる。例えば、91勝の鹿取義隆は、キャリアのほとんどをリリーバーとして過ごし、131セーブを挙げた。755登板のうち、先発マウンドに上がったのは16試合に過ぎない。91勝の斎藤隆は、先発登板とリリーフ登板がほぼ半々。55セーブを挙げている。さらに、2006~12年はメジャーリーグでリリーバーとして338試合に投げ、21勝15敗、84セーブ、防御率2.34を記録した。

 98勝のランディ・メッセンジャーも、日米の白星を合算すれば、100勝を超える。阪神タイガースで投げる前に、フロリダ・マーリンズで3勝、サンフランシスコ・ジャイアンツで1勝を挙げた。ちなみに、井川は、阪神で86勝、オリックス・バファローズで7勝の間に、ヤンキースで2勝を記録した。

 現在、吉見と菅野は90勝で並んでいる。だが、年齢も現在の立ち位置も、2人は大きく異なる。吉見は35歳。シーズン二桁勝利は8年前が最後だ。今シーズンは3登板したところで、登録を抹消された。それに対し、30歳の菅野は、今シーズンもエースとして投げている。今オフにポスティング・システムを利用し、メジャーリーグの球団へ移るかもしれないが、その前に100勝に到達してもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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