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打率が2割5分に届かなくても、出塁率は4割以上。昨年の山田哲人もNPBではレア

宇根夏樹ベースボール・ライター
リッキー・ヘンダーソン(左)とマイク・マシーニー Aug 15,1997(写真:ロイター/アフロ)

 シーズン打率が3割に届かなくても、出塁率4割以上はあり得る。例えば、昨シーズンの日本プロ野球で規定打席に達した選手のうち、打率.271の山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)は出塁率.401を記録した。メジャーリーグには、打率3割未満&出塁率4割以上が4人いた。アレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)は打率.296&出塁率.423、アンソニー・リゾー(シカゴ・カブス)は打率.293&出塁率.405、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は打率.291&出塁率.438、ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)は打率.282&.401だった。山田の打率と出塁率は、セ・リーグの19位と3位。メジャーリーグの4人中、数値が最も低いソトは、ナ・リーグの23位と5位に位置した。

 2018年のメジャーリーグでは、打率.263のブランドン・ニモ(ニューヨーク・メッツ)が出塁率.403を記録している。さらに遡ると、打率は2割5分未満ながら、出塁率は4割以上という選手も存在する。

 犠飛(犠牲フライ)と犠打(犠牲バント)を別々に数え、公式記録とするようになった1954年以降、7人が延べ9度、打率2割5分未満&出塁率4割以上を記録している(出塁率の計算式は「(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」だ)。1997年のリッキー・ヘンダーソンは、ナ・リーグのサンディエゴ・パドレスで365打席、ア・リーグのアナハイム・エンジェルスで144打席だが、合計すると509打席なので、規定打席以上とした。

筆者作成
筆者作成

 また、1997年のゲリー・シェフィールドと2003年のジェイソン・ジアンビは、どちらも打率が.250で、出塁率は.424と.412だった。

 日本プロ野球には、調べた限り、2リーグ制となった1950年以降、2割7分未満の打率で出塁率4割以上を記録した選手が3人いた。1984年の掛布雅之が打率.269&出塁率.406、1988年のタイラー・バン・バークレオが打率.268&出塁率.406、1991年のオレステス・デストラーデは打率.268&出塁率.404だ。出塁率4割以上で昨シーズンの山田よりも打率が低い選手は、この3人と2007年のタイロン・ウッズ(打率.270&出塁率.418)しか見当たらなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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