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近いようで遠い!? MVP受賞はないが、トップ3入りは2度以上。松坂大輔と中村剛也はそれぞれ3度

宇根夏樹ベースボール・ライター
中村剛也(左)と大久保博元 MARCH 14, 2008(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 日本プロ野球のMVP投票(最優秀選手の選考投票)において、複数のシーズンで2位あるいは3位に入った現役選手は、7人を数える。彼らのうち、福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐(2位=2度)と現ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平(3位=2度)は、MVPも受賞した。

 残る5人は、2位と3位が計2度以上あるものの、MVPは手にしていない。埼玉西武ライオンズにいる2人、松坂大輔中村剛也は計3度ずつ。どちらも、2位が1度、3位が2度だ。

筆者作成
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 松坂は9月で40歳。日本プロ野球へ戻ってから、60イニングに達したシーズンはない。松坂とチームメイトの内海哲也(2位=1度、3位=1度)も、2015年以降は故障と不調が続いている。昨シーズンの一軍登板はなく、今月下旬に38歳となる。

 また、内海と同じく2位と3位が1度ずつの秋山翔吾は、今オフに埼玉西武を退団し、シンシナティ・レッズと3年2100万ドルの契約を交わした。ちなみに、メジャーリーグでMVPを受賞した日本人選手は、2001年のイチローだけだ。他には、5位以内さえいない。イチローも、その後は2004年の7位が最高。このシーズンは262安打のメジャーリーグ新記録を樹立し、打率.372で2度目の首位打者を獲得した。

 こうしたことからすると、松坂、内海、秋山の3人がMVPを受賞する可能性は、かなり低そうだ。けれども、中村と広島東洋カープの鈴木誠也(3位=2度)は違う。

 中村は8月で37歳ながら、昨シーズンは4年ぶりの30本塁打以上。出塁率も4年ぶりに.350を上回った。37歳以上のMVPは、これまでに何人かいて――決して多くはないが――その大半が野手だ。近いところでは、2016年に39歳の新井貴浩が受賞している。

 一方、鈴木は4年続けて25本塁打&出塁率.380以上。MVP投票の順位は、3位→4位→3位→4位と推移している。年齢も若く、中村が37歳となった3日後に26歳の誕生日を迎える。

 もっとも、日本プロ野球のMVP投票は、球団の順位に大きく影響される。2016年以降のトップ3、延べ24人(3人×4シーズン×2リーグ)のうち、リーグ優勝球団以外の選手は、2017年に3位の菅野智之(読売ジャイアンツ=リーグ4位)しかいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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