各球団最後の新人王。唯一不在のダイヤモンドバックスは、過去5年の得票も平野佳寿の1ポイントだけ
30球団のうち、アリゾナ・ダイヤモンドバックスだけは、これまで新人王が一人も出ていない。創設は1998年。その球史は最も短い。けれども、同じ年にスタートしたタンパベイ・レイズ(2007年まではタンパベイ・デビルレイズ)からは、3人の新人王が生まれている。2008年にエバン・ロンゴリア(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)、2011年にジェレミー・ヘリクソン(今オフに引退)、2013年にウィル・マイヤーズ(現サンディエゴ・パドレス)が受賞した。
過去5年(2015~19年)に限れば、新人王の選考投票で票を得たダイヤモンドバックスの選手は、2018年の平野佳寿(現シアトル・マリナーズ)しかいない。それも、日本人記者が3位に挙げた1票(1ポイント)のみだ。
もっとも、ダイヤモンドバックスにも、新人王に近づいた選手はいた。2003年のブランドン・ウェブと2012年のウェイド・マイリー(現シンシナティ・レッズ)の得票は、計70ポイントを上回り、それぞれ3位と2位に入った。ウェブの73ポイントは、受賞したフロリダ・マーリンズのドントレル・ウィリスと45ポイント差(2位に位置したミルウォーキー・ブルワーズのスコット・ポセドニックとは8ポイント差)。マイリーの105ポイントは、ワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパー(現フィラデルフィア・フィリーズ)と7ポイント差だった。
この2人のうち、惜しかったのはウェブだ。2003年の上位3人、ウィリス、ポセドニック、ウェブのWARを比べると――この総合指標を絶対視するわけではないが――ベースボール・リファレンス版は4.4/3.6/5.9、ファングラフス版は3.9/3.2/4.0となる。ウィリスの160.2イニングと防御率3.30に対し、ウェブは180.2イニングと防御率2.84。一方、ウィリスは14勝6敗、ウェブは10勝9敗だった。ウィリスは、トリッキーな投球フォームで「Dトレイン」と称され、打撃でも活躍したが、今日であれば、ウェブが新人王を受賞していたのではないだろうか。
なお、「各球団最後のMVPとサイ・ヤング賞。マリナーズはイチローとキング。一方の受賞者がまだ誰もいない球団も」で紹介したとおり、ダイヤモンドバックスはMVPも皆無だ。ただ、サイ・ヤング賞投手は2人。1999~2002年のランディ・ジョンソンに続き、2006年にウェブが選出されている。その翌年と翌々年も、ウェブはゴロを打たせ続け、サイ・ヤング賞の投票で2年続けて2位に入った。
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