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フランチャイズ・プレーヤーの去就。「キング」と「マッドバム」は移籍、「Mr.ナショナル」は再契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
フェリックス・ヘルナンデス(中央)とファン Sep 26, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーデビュー以来、10年以上にわたって同じ球団でプレーしてきて、今オフにFAとなった選手は、7人を数える。彼らのうち、5人は再契約を交わし、2人は別の球団へ移った。

筆者作成
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 移籍したのは、どちらもエースとして投げてきた、フェリックス・ヘルナンデスマディソン・バムガーナーだ。もっとも、フェリックスが「キング」だったのは数年前まで。2013年2月にシアトル・マリナーズと交わした延長契約は、投手では最高総額(当時)の7年1億7500万ドル。それに対し、今年1月にアトランタ・ブレーブスから得たのはマイナーリーグ契約だ。メジャーリーグに昇格しても、年俸は100万ドルに過ぎない。

 この7人のなかで、フェリックスだけはワールドチャンピオン・リングを持っていない。それどころか、ポストシーズンの舞台に立ったこともない。写真は、今シーズンの最終登板後だ。

 一方、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAになった「マッドバム」は、5年8500万ドルでアリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団した。それまでの延長契約、5年3500万ドルには球団オプションが2年ついていて、いずれもジャイアンツに行使された。

 フェリックスと違い、バムガーナーはサイ・ヤング賞を受賞しておらず、投票の最高位は2014年と2016年の4位ながら、ワールドシリーズでは無類の強さを発揮してきた。3シリーズ(2010、12、14年)の計5登板(4先発、1救援)で36.0イニングを投げ、ソロ本塁打による1点しか与えていない。この3シリーズとも、ジャイアンツは優勝。2014年のワールドシリーズで、バムガーナーはMVPに選ばれた。

 ちなみに、バムガーナーのメジャーデビューは2009年9月8日。現在もジャイアンツにいるバスター・ポージーは、その3日後にデビューした。

 ワシントン・ナショナルズと再契約を交わした2人のうち、ライアン・ジマーマンは、まさしく「Mr.ナショナル」だ。モントリオール・エクスポズが移転し、ナショナルズとなったのは2005年。その年のドラフトで、ナショナルズは最初にジマーマンを指名した。順位は全体4位。その2人前にカンザスシティ・ロイヤルズから指名されたアレックス・ゴードンも、今オフに再契約。また、ジマーマンの直後、全体5位でミルウォーキー・ブルワーズに指名されたライアン・ブラウンも、一度も移籍していない。今シーズンは5年1億500万ドルの最終年。来シーズンの契約は、1500万ドルの相互オプションだ。

 なお、アダム・ウェインライトは、メジャーデビューからずっとセントルイス・カーディナルスで投げてきたが、その前に移籍している。2000年のドラフトで、アトランタ・ブレーブスから全体29位指名を受けて入団。2003年のオフにカーディナルスへトレードされた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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