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ノンテンダーFAの56人には、1年前に防御率0点台のクローザーも

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレイク・トライネン Jul 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月2日、56人の選手がノンテンダーとされ(来シーズンの契約を球団から提示されず)、FAになった。そのなかには、半年前までオークランド・アスレティックスでクローザーとして投げていた投手もいる。ブレイク・トライネンだ。

 2017年の夏にワシントン・ナショナルズから移り、2018年は球史に残る成績を収めた。68試合に登板し、80.1イニングを投げて自責点は7。防御率0.78は、50イニング以上の歴代5位に位置し、80イニング以上のシーズン記録を塗り替えた。ところが、2019年は5月11日以降の16登板中7試合で失点。6月下旬から7月上旬にかけての故障者リスト入りを挟み、中継ぎへ回された後も、復調することはできなかった。

筆者作成
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 これまでの成績からわかるとおり、トライネンは必ずしも「一発屋」ではない。2016年は防御率2.28と22ホールドを記録している。スタットキャストによれば、ここ2シーズンの平均球速は、シンカーが97.3マイル→96.5マイル、4シームが97.5マイル→97.0マイル、カッターが94.0マイル→93.2マイル、スライダーは89.2マイル→88.5マイルと軒並みダウンしているものの、それでもなかなかのスピードだ。

 不調に陥った最大の原因は、制球の乱れだと思われる。2018年に2.35だった四球率が、2019年は5.68へ急上昇した。

 年齢は31歳。2018年の再現はできないかもしれないが、復調の可能性はある。契約を申し出る球団は皆無ではないはずだ。ノンテンダーとされる前には、ニューヨーク・ヤンキースなどが獲得に興味を示していたという。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールが報じている。アスレティックスが手放したのも、年俸が理由だ。トライネンは3度目となる年俸調停の申請権を持っていて(来オフにFAとなる予定だった)、2019年の年俸640万ドルから、2020年は800万ドル近くまで上がってもおかしくなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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