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名将が最後に対戦する監督は、彼の下で最も多くの盗塁を決めた元スピードスター

宇根夏樹ベースボール・ライター
デーブ・ロバーツ(手前)とブルース・ボウチー Sep 6, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ブルース・ボウチー監督(サンフランシスコ・ジャイアンツ)のラスト・ゲームが近づいてきた。2月に「名将が今季限りで勇退。通算2000勝に到達できなくても、殿堂入りは間違いなし」で書いたとおり、ボウチーはシーズン終了後の退任を宣言している。今シーズンは、4度目のワールドシリーズ優勝どころか、9度目のポストシーズン進出すら果たせなかったが、9月18日に史上11人目の2000勝に到達した。

 ジャイアンツは、9月27~29日にホームでロサンゼルス・ドジャースと3試合を行い、シーズンを終える。昨シーズンの最後も同じカードだったが、これはスケジュールを作成した人にとっては「ヒット」だろう(スケジュールの発表は、ボウチーの退任宣言よりも数ヵ月早い)。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、選手時代にボウチー監督の下でプレーした。

 ボウチーは1995~2006年にサンディエゴ・パドレスで監督を務め、2007年からはジャイアンツで指揮を執ってきた。ロバーツは2005~06年にパドレス、2007~08年にジャイアンツでプレーした。2009年3月にジャイアンツから解雇され、そのまま選手としてのキャリアを終えた。

 ボウチー監督の下で、ロバーツは誰よりも多くの盗塁を決めた。2005~08年の4シーズンに108盗塁。2番に多いのは、1999~2001年と2005年にパドレスでプレーしたダミアン・ジャクソンの100盗塁だ。ロバーツは34本の三塁打も、2011年からジャイアンツでプレーするブランドン・クロフォードの38本(9月25日時点)に次ぐ。

筆者作成
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 2人の関係は良好だ。実現はしなかったものの、今年のオールスター・ゲームでナ・リーグの指揮を執ったロバーツは、そこでコーチを務めてくれるよう、6月にボウチーを誘った(サンフランシスコ・クロニクルのジョン・シェイらによると、ボウチーはバケーションの予定があると断った)。9月6日にドジャー・スタジアムで行われた、ボウチーを称えるセレモニーでは、ロバーツが記念品のプレゼンターを務めた(写真)。ボウチーが贈られたのは、ドジャースでサイ・ヤング賞を3度受賞したサンディ・コーファックスのサイン入りジャージだ。ボウチーは、コーファックスのファンだったという。

 なお、現役監督ではロバーツの他、ブラッド・オースマス(ロサンゼルス・エンジェルス)も、1995~96年にボウチー監督の下でプレーした。また、ボウチー監督の下で最も多くのホームラン(156本)を打ったフィル・ネビンは、2017年に三塁コーチとして、再びボウチーと同じユニフォームを着た。昨シーズンからは、ニューヨーク・ヤンキースで三塁コーチを務めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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