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前田健太の「連投」はワールドチャンピオンに向けた準備

宇根夏樹ベースボール・ライター
フリオ・ウリーアス(左)と前田健太 Oct 1, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)が、2日続けて登板した。9月20日の1イニングに続き、翌日は0.2イニングを投げ、いずれも得点を与えなかった。

 9月21日に最初の打者を討ち取ったところで、前田はシーズン150イニングに達し、25万ドルの出来高を得た。年俸と出来高を合わせた総額は、840万ドルとなった(内訳については「前田健太がゲットする金額は、過去2年を上回るものの、1年目には及ばない」で書いた)。だが、当然のことながら、デーブ・ロバーツ監督はそのために前田を投げさせたわけではない。

 また、ドジャースは9月10日に地区優勝を決めている。9月20日~21日の登板は、4点リードの7回表と2点ビハインドの9回表。前田を連投させる必要はなかった。

 これは、ポストシーズンに向けた準備だ。今シーズン、前田が中0日で登板するのは、初めてだった。前田に限ったことではない。フリオ・ウリーアスは、9月17日~18日に1イニングずつを投げた。こちらの連投は、レギュラーシーズンではキャリア初。今シーズンは救援登板が多いが、ウリーアスも前田と同じく、本来は先発投手だ。

 昨シーズンも、ロバーツ監督は前田を連投させている。シーズン終盤に3度、9月18日~19日、24日~25日、28日~29日に起用した。もっとも、今シーズンとは状況が異なる。昨シーズンの場合、ポストシーズン進出を決めたのは9月29日。地区優勝は163試合目の10月1日だった。この6登板で、前田は4ホールドを記録した。

 昨年のポストシーズンにおいて、前田とウリーアスはそれぞれ2度、2日続けてマウンドに上がった。

 ドジャースは、1988年を最後にワールドチャンピオンから遠ざかっている。前田はこの年に生まれた。ウリーアスはその8年後だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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