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「ビッグ3」となるはずだった左腕が、29歳でようやくメジャーデビュー

宇根夏樹ベースボール・ライター
「ビッグ3」がマリナーズに揃い踏みすることはなかった Feb 18, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 かつて、シアトル・マリナーズには「ビッグ3」として期待された3人のプロスペクト、タイワン・ウォーカージェームズ・パクストンダニー・ハルツェンがいた。2013年の開幕前、彼らはベースボール・アメリカのプロスペクト・ランキングで、全体18位と87位、29位に挙げられた。現在は、いずれもマリナーズにはいない。ウォーカーはアリゾナ・ダイヤモンドバックス、パクストンはニューヨーク・ヤンキース、ハルツェンはシカゴ・カブスに在籍している。

 3人とも、順調に歩んできたわけではない。故障と無縁ではなかった。ウォーカーは昨年4月にトミー・ジョン手術を受け、今も故障者リストに入っている。

 だが、ウォーカーとパクストンは、2013年に相次いでメジャーデビューした。どちらも、メジャーリーグで30先発以上のシーズンはないが、20先発以上は3度と4度を数える。

 一方、ハルツェンはメジャーデビューできないまま、2016年のオフにマリナーズからFAとなった。2017年はどの球団とも契約せず、リハビリに励むとともに、大学へ戻って単位を修得した。大学でプレーしていた選手は、ほとんどの場合、卒業することなくプロ入りする。

 昨春、ハルツェンはカブスとマイナーリーグ契約を交わし、そこから1年半を経て、9月8日にメジャーデビューを果たした。2011年のドラフトで、マリナーズから全体2位指名を受けた時、ハルツェンは21歳だった。現在は29歳だ。ちなみに、ハルツェンの前後には、ゲリット・コール(現ヒューストン・アストロズ)とトレバー・バウアー(現シンシナティ・レッズ)が指名された。

 5点ビハインドの7回裏に、ハルツェンはマウンドへ上がった。最初の打者にぶつけ、2人目にヒットを打たれ、無死一、二塁となったものの、そこから3人続けて三振に仕留めた。

 なお、パクストンとウォーカーは、5年前に1度だけ、メジャーリーグの同じ試合で投げたことがある。パクストンは先発して6イニングを1失点に抑え、ウォーカーは4番手として1.1イニングを無失点に封じた。ハルツェンを含め、当時は3人とも、マリナーズに在籍していた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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