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男は背中で語る!? メジャーリーガーはユニフォームの背中でニヤリとさせる

宇根夏樹ベースボール・ライター
エリック・テームズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)Jul 30, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月23日~25日は「プレーヤーズ・ウィークエンド」だ。これは、一昨年に始まった企画。名前ではなくニックネームを背中に綴ったユニフォームを着て、プレーする。

 発表されているニックネームには、思わずニヤリとさせられるものも、いくつかある。マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)は「BROWN EYE」だ。昨年は「BLUE EYE」で、確か、一昨年もそうだった。シャーザーの瞳は、右が青く(どちらかと言えば水色)、左は茶色い。シャーザーは、左右の瞳の色が違う犬も飼っている(「ペットが飼い主に似るかどうかはともかく、サイ・ヤング賞投手とその愛犬には目につく共通点がある」)。

 シェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ)は「NOT JUSTIN」だ。あのジャスティン・ビーバーじゃないよ、と主張している。メジャーリーグ1年目の昨シーズンも同じニックネームだったが、今シーズンはオールスター・ゲームに選ばれ、完投を3度記録している(うち2度は完封)。全米に知られる投手になる日は、そう遠くないだろう。近々、ニックネームを変える必要がありそうだ。

 個人的に最も気に入ったニックネームには、エリック・テームズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)の「PHONE HOME」を挙げたい。最初、家に電話する??? と思ったが、少し考えてわかった。テームズのイニシャルはE.T.だ。映画「E.T.」には「E.T. Phone Home(オウチにデンワする)」というセリフが出てくる。もっとも、映画が封切られた時、テームズは生まれていなかった。ちなみに、一昨年は「SANG NAMJA」、昨年は「MR. TEE」だった。一昨年のニックネームは韓国語。スラングの「Badass」に近く、日本語に訳すなら「マジ、カッコイイ」あたりだろうか。テームズは2014~16年に韓国でプレーし、3シーズンで124本塁打と64盗塁を記録するなど、大活躍した。

 エバン・マーシャル(シカゴ・ホワイトソックス)の「FORGETTING SARAH」も、映画からきている。「寝取られ男のラブ♂バカンス」の原題は「Forgetting Sarah Marshall」だ。マーシャルはメジャーリーグ6年目だが、一昨年と昨年の「プレーヤーズ・ウィークエンド」は、マイナーリーグにいた。今シーズンは5月1日にAAAから昇格後、一度も降格することなく34試合に投げ、防御率2.23を記録している。

 テームズのように、ニックネームを毎年変えている選手もいるが、ずっと同じ選手も少なくない。例えば、ダルビッシュ有(シカゴ・カブス)は3年続けて「YU-SAN」だ。今年は「PLEASE SHENLONG」ではないかと、密かに期待していたのだが……。

 また、昨年8月に「EMOJI(絵文字)がユニフォームに登場!」で紹介したブラッド・ボックスバーガーに続き、今年は絵文字の選手も増えている。ただ、ボックスバーガーは8月6日にシンシナティ・レッズとマイナーリーグ契約を交わしたばかりだ。「プレーヤーズ・ウィークエンド」までに昇格する可能性はあるが、今年のニックネームは発表されていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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