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ようやく野手が出揃い、エンジェルスは投手陣を補強してワイルドカードを狙う!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・アップトン(ロサンゼルス・エンジェルス)Mar 19, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月17日、ジャスティン・アップトン(ロサンゼルス・エンジェルス)がシーズン初出場を果たし、最初の打席に初球をホームランとした。アップトンに続き、5月21日から欠場しているアンドレルトン・シモンズも、今週中に戻ってくる予定だ。これにより、エンジェルスのラインナップには、予定していたメンバーがほぼ揃う。ザック・コザートは復帰の目途が立っていないが、上位打線はなかなかの顔ぶれだ。ブレイク中のトミー・ラステラがリードオフを務め、その後ろに、マイク・トラウト大谷翔平、アップトンの3人が並ぶ。

 エンジェルスは地区4位にいて、首位のヒューストン・アストロズには12ゲーム離されているが、ワイルドカードの2番手までは3.5ゲーム差だ。ポストシーズン進出をあきらめるのは、まだ早い。

 そのためには、投手陣の向上が欠かせない。なかでも、ローテーションは崩壊に近く、5月11日にデビューしたグリフィン・キャニングは防御率3点台ながら、全体としてはリーグ・ワーストの5点台半ばだ。一方、ブルペンでは、タイ・バットリーキャム・ベロージアンが好投し、ハンセル・ロブレスはクローザーに定着しつつある。

 この夏、サンフランシスコ・ジャイアンツは、エースのマディソン・バムガーナーを売りに出すだろう。トロント・ブルージェイズでは、マーカス・ストローマンが放出候補だ。先日、「この夏、あのチームは大エースを放出するのか。4度目のサイ・ヤング賞もあり得るが、チームは低迷中」で書いたように、ワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザーも、わずかながらトレードの可能性はある。

 ただ、このクラスの先発投手を手に入れるには、かなりの見返りが必要になる。このままいけばポストシーズンにたどり着ける位置にいれば、将来を犠牲にして今シーズンに賭けてもいいが、現在のエンジェルスはそうではない。トラウト、大谷、アップトンのうち、最初にFAとなるアップトンでも2022年のオフということを考えると、本当の意味で勝負に打って出るのは、開幕から3人が揃い、大谷がマウンドにも立つ、来シーズンからだろう。

 ここからの1ヵ月で急浮上すれば別だが、先発投手を獲得するにしても、大物ではなく、4~5番手クラスに落ち着くのではないか。それでは、昨オフに加わったマット・ハービートレバー・ケイヒルの二の舞になりかねない。2人とも、ここまでの防御率は7点台。現在はどちらも、故障者リストに入っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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