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ここ9シーズンの完封がカーショウに次いで多いのは……バーランダーでもシャーザーでもなく

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイソン・バーガス(ニューヨーク・メッツ)Jun 5, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月5日、ジェイソン・バーガス(ニューヨーク・メッツ)が、2年ぶり8度目の完封を記録した。ここ9シーズン(2011~19年)に8完封は、アダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)と並び、14完封のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)に次いで多い(ウェインライトとカーショウは、2010年以前の完封もある)。

 カーショウはサイ・ヤング賞に3度選ばれている。ウェインライトは受賞こそしていないものの、投票2位と3位がそれぞれ1度ある(2010年以前も1度ずつ)。それに対し、バーガスは1ポイントの5位票すら、一度も得たことがない。ここ9シーズンの防御率は4.08、奪三振率は6.40。どちらもトップ30(1000イニング以上)に入っていない。与四球率2.58は30位以内ながら、辛うじてだ。悪くない数値とはいえ、ずば抜けてはいない。

 また、防御率3.70未満のシーズンは、トミー・ジョン手術から復帰して9月に3登板した2016年(2.25)だけ。実質的には皆無だ。今シーズンの防御率は3.57なので、最後まで維持できれば、キャリア・ベストとなる。

 にもかかわらず、ゾーンに入る、あるいはツボに嵌った時のバーガスは、チェンジアップを軸に、85マイル前後の4シームとシンカー、カーブを織り交ぜ、打者を翻弄する。

 8完封は、ツキや相手のおかげではない(はずだ)。8度目の完封は、試合前の時点で借金9のサンフランシスコ・ジャイアンツが相手だった。けれども、それまでの7完封中6度は、勝ち越しチームから記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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