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3匹の子豚や「死の秘宝」を手にした3兄弟と同じ!? 外野トリオだった3人の明暗

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、C.イェリッチ、M.オズーナ、G.スタントン May 13, 2015(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月24日、クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)が、シーズン20本目のホームランを打った。これは、今シーズンの一番乗りだ。

 一方、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)は、開幕から3試合に出場しただけで、その後は故障リストに入っている。5月20日にA+の試合で「シーズン初ホームラン」を打ったが、翌日は左足の張りを訴え、ラインナップから抹消された。復帰は予定よりも遅れそうだ。

 イェリッチとスタントンは、2014~17年のマイアミ・マーリンズで、マーセル・オズーナ(現セントルイス・カーディナルス)とともに外野トリオを形成した。3人とも、現在の球団へ移ったのは2017年のオフだ。スタントンとオズーナは12月にトレードで放出され、その翌月にイェリッチも続いた。

 彼らが外野トリオだった4シーズンに、スタントンは150本のホームランを打った。オズーナは93本、イェリッチは55本だ。カーディナルスにとって、オズーナの獲得は「プランB」だった。その前にスタントンを手に入れようとし、マーリンズと合意に達したものの、スタントン自身にトレード拒否権を行使された。

 移籍1年目の昨シーズンも、3人のなかでホームランが最も多かったのは、38本のスタントンだった。だが、イェリッチは前年の18本から、本数を倍増させた。今シーズン、その勢いは止まらないどころか、さらに加速している。昨シーズンは23本のオズーナも、今シーズンはすでに14本を数え、移籍後の合計本数はスタントンと1本しか違わない。スタントンが復帰するまでには、追い抜いているだろう。

筆者作成
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 ホームランにとどまらず、ここまでのところ、マーリンズを去ってから最も活躍しているのは、3人の最後に移籍したイェリッチだ。昨シーズンはMVPを受賞した(スタントンはその前年に受賞)。また、3匹の子豚や「死の秘宝」を手にした3兄弟ではないが、イェリッチは3人のなかで最も若い。

 とはいえ、彼らの年齢は近く、最年長のスタントンでも30代に入っていない。3人揃って「めでたし、めでたし」となるキャリアを築くチャンスは、まだ潰えていない。

 なお、現時点で最も大きな契約を手にしているのは、スタントンだ。今シーズンは13年3億2500万ドルの5年目。来シーズン終了後、スタントンはこの契約を破棄することもできるが、そうする可能性は極めて低い。イェリッチは7年4957万ドルの5年目。2人の契約には、どちらも球団オプションが1年ついている。オズーナは複数年の契約を交わしておらず、今シーズンが終わるとFAになる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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