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投手による盗塁。3球団は創設から一度も記録しておらず、そのうち1球団はナ・リーグ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドルー・ステッケンライダー(マイアミ・マーリンズ)Aug 31, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月3日、先発投手のジャック・フラハティ(セントルイス・カーディナルス)が二盗を決めた。バッテリーがまったく警戒していなかったとはいえ、盗塁であることに変わりはない。フラハティの盗塁はキャリア初。カーディナルスの投手による盗塁は、4年前のマイケル・ワカ以来だ。

 今シーズン、メジャーリーグで盗塁を記録した投手は、フラハティしかいない。フラハティの前日には、リリーフ投手のマイケル・ロレンゼン(シンシナティ・レッズ)が盗塁を成功させているが、この試合はマウンドには立たず、代走として出場した。

 なかには、創設から現在まで、投手の盗塁が皆無という球団もある。シアトル・マリナーズ(1977年~)、マイアミ・マーリンズ(1993年~)、タンパベイ・レイズ(1998年~)の3球団がそう。マリナーズとレイズはDHのあるア・リーグだが、マーリンズはナ・リーグだ。

 2003~07年にマーリンズで投げたドントレル・ウィリスは、その5シーズンに打率.234(351打数82安打)と8本塁打を記録し、三塁打も5本打った。けれども、盗塁はマーリンズ以外でも記録していない。2007年に二盗失敗(三振との併殺)が1度あるだけだ。

 現在、マーリンズにいる投手のなかで、最も盗塁が期待できそうなのは、ドルー・ステッケンライダーだろう。名前の語感も速そうだが、理由はそこではない。テネシー大時代の2012年には、投手だけでなく外野手も務め、計52試合で12盗塁(失敗8度)を決めている。

 ただ、ステッケンライダーはリリーフ投手だ。今シーズンの13登板はいずれもイニングをまたいでおらず、今のところ、打席に立つ機会すら巡ってきていない。それどころか、通算112登板で打席はゼロ。マイナーリーグでも、3年前にAAで2.2イニングを投げた試合の1打席しかない。ちなみに、この打席は投手ゴロに仕留められた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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