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テニス選手とメジャーリーガーの恋。大坂なおみと大谷翔平ではないけれど

宇根夏樹ベースボール・ライター
メアリー・ピアースの母(左)とロベルト・アロマー Nov 20,1997(写真:ロイター/アフロ)

 昨年、錦織圭と対談した大坂なおみは、好きなタイプを訊ねられ、「顔だけね」と前置きした上で、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の名前を挙げた。この模様は、フジテレビ系の番組「The世界力3」で、年末に放送された。

 シーズン中、大坂は世界を転戦している。大谷が在籍するエンジェルスは、北米各地で試合を行う。もし、2人が交際した場合でも、スケジュールを合わせるのは難しい。ただ、現役テニス選手と現役メジャーリーガーというカップルが、過去にまったくいなかったわけではない。

 1990年代後半のボルティモア・オリオールズでは、レギュラーの野手が2人も、テニス選手と交際していた。センターを守るブレイディ・アンダーソンと、二塁手のロベルト・アロマーだ。

 1998年11月のボルティモア・サンによれば、4年前(1994年)にテニスのイベントに参加したアンダーソンが、メアリー・ピアースとペアを組んだのが始まりだという。アンダーソンはピアースとデートをした後、ピアースをアロマーに紹介した。2人はカップルになり、アンダーソン自身は昨年(1997年)のイベントでペアを組んだアマンダ・クッツァーとつきあい始めた。この記事は、「彼女に夢中なんだ」というアンダーソンのコメントも紹介している。

 また、ピアースはトップに「12」の数字がついたネックレスを首から下げ、プレーしていた。これは、アロマーの背番号だ。その時、アロマーはピアースの母と観戦していた(写真)。

 この2組は、どちらもビッグ・カップルだ。アンダーソンは通算1661安打、210本塁打、315盗塁。1992年に「20-50(20本塁打&50盗塁)」、1996年に「50-20」を達成し、オールスター・ゲームには3度選ばれた。セクシーガイとしても人気を博し、オリオールズ時代は上半身裸のモノクロ・ポスターが発売された。クッツァーは、シングルスのランキングで3位に入ったことがある。

 アロマーは通算2724安打、210本塁打、474盗塁。オールスター・ゲームに12度選出され、ゴールドグラブ受賞は10度を数える。2011年に殿堂入りした。ピアースも最高ランキングは3位。1995年の全豪オープンと2000年の全仏オープンで優勝し、後者はシングルスだけでなく、マルチナ・ヒンギスと組んでダブルスも制した。

 現役メジャーリーガーのなかにも、テニス選手との仲が噂された選手はいる。本格的な交際に発展したかどうかは不明ながら、CC・サバシア(ニューヨーク・ヤンキース)はクリーブランド・インディアンズ時代の2002年に、セリーナ・ウィリアムズとのデートが報じられた。この前年、サバシアは新人王投票でイチロー(シアトル・マリナーズ)に次ぐ2位に入り、今日までに通算246勝を挙げている。2007年にはサイ・ヤング賞を手にした。セリーナのキャリアについては、説明不要だろう。昨年、セリーナは全米オープンの決勝戦で大坂と対戦した。

 もっとも、サバシアとセリーナのみならず、アンダーソンとクッツァーも、アロマーとピアースも、ウェディング・ベルを鳴らすには至らなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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