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マリナーズの「解体」はまだまだ続く。捕手、エース、セットアッパー、二塁手、クローザー、遊撃手の次は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジーン・セグーラ(左)とカイル・シーガー Aug 9, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズが、続々と主力を放出している。捕手のマイク・ズニーノ(→タンパベイ・レイズ)、エースのジェームズ・パクストン(→ニューヨーク・ヤンキース)、セットアッパーのアレックス・コロメ(→シカゴ・ホワイトソックス)に続き、二塁手のロビンソン・カノーとクローザーのエドウィン・ディアズ(→ニューヨーク・メッツ)、遊撃手のジーン・セグーラ(→フィラデルフィア・フィリーズ)を手放した。まさに「ファイヤー・セール」だ。

筆者作成
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 マリナーズの「解体」は、これで終わりではないはずだ。残る選手のなかで、マリナーズが最も売り払いたいのは、三塁手のカイル・シーガーだろう。彼自身というよりは、彼と交わしている契約を精算し、球団の負担額を減らしたい。2021年まで続く契約は、あと5500万ドル以上が残っている。残り1億2000万ドルのカノーがいなくなった今、マリナーズでは最高額だ。

 ただ、シーガーを欲しがる球団は、出てきそうにない。金額だけが理由ではない。ホームランは7年連続20本以上ながら、シーガーの出塁率はあまり高くなく、今シーズンに至っては両リーグ・ワースト2位の.273に終わった。年齢もマイナス材料だ。シーガーは11月に31歳を迎えた。

 マリナーズとしては、カノーの時と同じように、他球団が欲しがる選手とシーガーを抱き合わせるとともに、シーガーの残り契約の金額を一部負担し、トレードを成立させようとするのではないか。カノーの放出については、先日、「ブロックバスター・トレードがもうすぐ成立するが、あのビッグ・ネームは主役ではなく、むしろお荷物!?」に書いた。シーガーの場合は、外野手のミッチ・ハニガーとの「セット販売」などが考えられる。今月で28歳のハニガーは、初めて規定打席をクリアして好成績を残した上、2022年のオフまでFAにならない。

 また、トレードでマリナーズへ移籍したばかりの選手も、来シーズンの開幕までにいなくなっている可能性がある。ディアズとカノーのトレードで加入したジェイ・ブルースアンソニー・スウォーザックは31歳と33歳、セグーラと入れ替わりに移ってきたカルロス・サンタナは32歳だ。3人とも、トレードを成立させるために、マリナーズが彼ら(の契約)を引き取ったという意味合いが強い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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