Yahoo!ニュース

ナ・リーグ優勝を決めるシリーズでは、因縁ある2人とかつての併殺デュオが、どちらも敵味方に分かれて戦う

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョナサン・スコープ(左)とマニー・マチャド Aug 23, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7年前、ライアン・ブラウン(ミルウォーキー・ブルワーズ)はマット・ケンプ(ロサンゼルス・ドジャース)を抑え、ナ・リーグのMVPに選ばれた。ブラウンが20人から1位票を得たのに対し、ケンプは半数の10人にとどまり、トータルでは56ポイントの差がついた。

 ただ、ともに30-30を達成したものの、本塁打も盗塁もケンプが6以上多く、fWARとrWARもブラウンを上回った。似たような例は他にもあるが、2人の場合はこれだけにとどまらなかった。その2年後、ブラウンは禁止薬物による出場停止を科され、MVPを受賞したシーズンも使用していたことを認めた。ケンプはこれを受け、MVPを返上すべきだと発言した。

 一方、ジョナサン・スコープ(ブルワーズ)とマニー・マチャド(ドジャース)の2人は、7月半ばまで、ボルティモア・オリオールズで併殺デュオを組んでいた。マイナーリーグでもチームメイトだった彼らは、仲もいい。

 もっとも、選手としてはマチャドの方が上だ。ブルワーズも獲得に動いていたが、ドジャースに遅れをとった。マチャドを手に入れていれば、スコープを獲得することはなかったと思われる。マチャドのトレードから約2週間後に、スコープはオリオールズを去った。

 ブラウンとケンプはともに34歳、スコープとマチャドはどちらも26歳だ(スコープは10月16日で27歳)。彼らはそれぞれ、敵味方に分かれ、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでプレーする。

 4人とも初めてのポストシーズンではないものの、ワールドシリーズは経験していない。昨年、ドジャースはワールドシリーズへ進出したが、そこにケンプはいなかった。ケンプは2014年のオフに放出され、昨年12月にドジャースへ戻ってきた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事