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ポストシーズン進出を決めたスウィープ3連勝は「オープナー」を進化(?)させた奇策から始まった

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダン・ジェニングス(ミルウォーキー・ブルワーズ)Sep 24, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミルウォーキー・ブルワーズが、スウィープの3連勝でセントルイス・カーディナルスを下し、7年ぶりのポストシーズン進出を決めた。その幕開けには、奇策があった。

 そもそも、9月24~26日に行われたこのカードの初戦は、チェイス・アンダーソンが先発登板するはずだった。アンダーソンは30試合に先発し、防御率3.93を記録している。けれども、クレイグ・カウンセル監督は予定を変更し、ダン・ジェニングスを先発マウンドへ送った。アンダーソンは右投手、ジェニングスは左投手だ。違いはそれだけにとどまらず、ジェニングスはそれまでの通算381登板すべてがリリーフだった。

 ここまでなら、リリーフ投手を先発させているタンパベイ・レイズと変わりない。「クローザー」ならぬ「オープナー」だ。ただ、ジェニングスは初回を投げ終えることもなく、1番打者のマット・カーペンターを3球で二塁ゴロに仕留めると、そこでマウンドを降りた。

 カーペンターは出塁率が高い上、今シーズンはリーグ最多の36本塁打を打っている。左打者ながら左投手もそう苦にしていないが、カウンセル監督の策は成功した。

 ジェニングスからすれば、登板する回こそ違え、左打者にワンポイントで起用されるのはよくあることだ。この日のカーディナルスのスターティング・ラインナップには、カーペンターを除き、8人の右打者が並んでいた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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