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新天地へ移った先発7投手の明と暗。トレード1ヵ月で判断するのは早すぎるけれど、あの投手は大丈夫!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ネイサン・イオバルディ(ボストン・レッドソックス)Aug 31, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月下旬から8月上旬にかけて、7人の先発投手がトレードで移籍した。彼らはすでに、新天地で5~7試合に先発している。

筆者作成
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 そのなかで、これまでとは別人のような快投を続けているのが、コール・ハメルズ(シカゴ・カブス)だ。移籍直前の5先発中4試合は自責点4以上で、残る1試合は初回を投げ終えられずに降板したが、移籍後は6先発とも1失点以下に抑え、防御率は0.69。カブスが7併殺を完成させた8月17日の試合では、7イニングで5本の併殺打を打たせ、8人の走者を背負いながら、ホームを踏ませなかった(「史上最多タイの7併殺は、新記録のチャンスもあった!?」)。ハメルズが登板した試合で、カブスはすべて勝利を収めている。8月下旬にダルビッシュ有のシーズン終了が決まり、カブスにおけるハメルズの重要度はさらに増している。

 ケビン・ゴーズマン(アトランタ・ブレーブス)とマイク・ファイヤーズ(オークランド・アスレティックス)に、ニューヨーク・ヤンキースが獲得したJ.A.ハップランス・リンも、期待どおりかそれ以上と言っていいだろう。ファイヤーズは移籍から5先発目に打ち込まれたが、アスレティックスは5試合とも白星を挙げている。

 一方、ネイサン・イオバルディ(ボストン・レッドソックス)とクリス・アーチャー(ピッツバーグ・パイレーツ)の防御率は、移籍前よりも移籍後の方が高い。イオバルディは前後ともほぼ同じ防御率ながら、移籍から2登板は計15.0イニングでゼロだった自責点が、その後の5登板は計19.0イニングで17点と急増している。8月28日はブルペンで、ペドロ・マルティネスから投球動作についてアドバイスを受けたが、3日後の登板では初回に3点を失った(雨天中断が長引き、2イニングで降板)。このままでは、ポストシーズンのローテーションから外れることにもなりかねない。

 アーチャーの場合は、チームの追い上げには貢献できなかったものの、もともと、パイレーツが獲得した主な理由は、来シーズン以降にあったと思われる。アーチャーは9月1日にゴーズマンと投げ合い、2人揃って6イニング&自責点1と好投した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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