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昨年のオールスター・ゲームで脚光を浴びた審判が、歴代単独2位に浮上

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からY.モリーナ、J.ウエスト、N.クルーズ Jul 11, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月15日、ジョー・ウエストはターゲット・フィールドで三塁の塁審を務めた。1976年9月のメジャーデビューから数えて、これが通算5164試合目。ジョー・フレミング(1971~2007年)を抜き、歴代単独2位に立った。

 MLBがこの記録を報じたツイートには、「量が質を上回る」「他に取り柄がないから続けている」といった、ファンからのリアクションもあった。また、ウエストは昨年8月に3試合の出場停止を科された。5000試合の到達に合わせ、6月にUSAトゥディが発表した記事が原因だ。そのなかで、最も文句の多い選手を問われたウエストは、エイドリアン・ベルトレー(テキサス・レンジャーズ)の名前を挙げ、ストライクと判定するたびに文句をつけてくると発言した。

 それでも、5000試合以上で審判を務めることは偉業だろう。ちなみに、ダラス・モーニング・ニューズのエバン・グラントによれば、ベルトレーはウエストの発言をジョークのようなものと受け取っているようで、出場停止は必要ないと語ったという。

 昨年のオールスター・ゲームでは、ネルソン・クルーズ(シアトル・マリナーズ)がウエストを称えた。6回表に代打で起用されたクルーズは、打席に入る前にiPhoneを捕手のヤディアー・モリーナ(セントルイス・カーディナルス)に渡し、球審のウエストと並んで写真を撮ってもらった。

 個人的には、昨年のオースター・ゲームのハイライトは、この場面だったと思う。クルーズもさることながら、躊躇うことなく片膝をついて撮影したモリーナもよかった。その写真は、クルーズのインスタグラムにアップされている。

 審判の最多出場は、ビル・クレム(1905~41年)の5375試合だ(5369試合など異説もある)。このままいけば、ウエストは2020年6月にクレムを追い抜く。亡くなった2年後ではあるものの、クレムは1953年に殿堂入りしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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