Yahoo!ニュース

完全試合からタイブレイクへ。勝ったチームは安打も四死球もゼロ

宇根夏樹ベースボール・ライター
完全試合を「逃した」ガルシアは19歳のドミニカン(写真:アフロ)

 8月6日のダブルヘッダー第2試合で、デイビー・ガルシア(タンパ・ターポンズ)は先頭打者から21人を続けて討ち取った。ターポンズはニューヨーク・ヤンキース傘下のA+、この試合は7イニング制だ。けれども、完全試合とはならなかった。対戦相手のクリアウォーター・スレッシャーズ(フィラデルフィア・フィリーズ傘下のA+)だけでなく、ターポンズも得点を挙げられず、試合は0対0のまま、延長戦のタイブレイクに入った。

 無死二塁から始まった8回表、ガルシアからマウンドを引き継いだクリスチャン・モリスも、ヒットは打たれず、四球と死球も与えなかった。ただ、3本続けて内野ゴロを打たせたものの、エラーで一、三塁となり、その後、3本目の内野ゴロの間にホームを踏まれた。8回裏、ターポンズは走者を二塁から進めることさえできず、試合は終わった。下のツイートの写真は、ガルシアだ。

 もっとも、最後までノーヒッターを演じながら敗れることは、タイブレイクでなくても起きる。メジャーリーグでは、過去に2度(9イニング未満の非公式ノーヒッターは除く)記録されている。1964年4月23日の試合は、ケン・ジョンソンが被安打ゼロのまま投げきったが、9回表に2失策で1点を失い、敗戦投手となった。1967年4月30日の試合は、スティーブ・バーバー(8.2回)とスチュー・ミラー(0.1回)が継投し、バーバーは10四球を与えたものの、2人とも被安打はゼロ。9回表に四球(3)と暴投と失策が絡み、2点を取られて逆転負けした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事